話題豊富な名古屋場所 キーマンは小結・嘉風 なるか3年連続三賞受賞

[ 2017年7月9日 10:15 ]

嘉風
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 大相撲名古屋場所が始まった。高安が新大関に昇進し、白鵬は史上最多勝の更新が期待される。左上腕などに不安を抱える稀勢の里は再び強さを見せられるのか。話題が多い中、記者がキーマンと見ている力士が35歳の小結・嘉風(尾車部屋)だ。幕内では38歳の豪風に次ぐ2番目の年長力士。14年夏場所での新三役は、新入幕から所要49場所でスロー4位の記録だったが、幕内在位67場所目の現在も衰えは感じられず、相撲っぷりは実に若々しい。

 夏場所では2横綱1大関を破るなど存在感を見せつけ、技能賞を獲得した。今場所前も好調で、二所ノ関一門連合稽古では2日間とも横綱・稀勢の里の胸を借り、計30番で19勝11敗。和製横綱の左差しを封じる右からの厳しい攻めが目立った。左からの出し投げなど、これまであまり見られなかった攻めも繰り出している。「体の切れや反応など、久々に感触がいい」と嘉風自身も手応えを感じている。上位陣にとっては、嫌な存在になるのは間違いない。

 番付社会では結果が全てだが、嘉風は勝敗よりも相撲内容にこだわっている。「プロとして魅せる相撲を取る」というのが信条だ。いい相撲を取った結果として、勝利がついてくる。そう考えられるのは、実力のあるベテランだからだろう。そんな嘉風だが、今場所は珍しく場所前から狙っているものがある。それは「三賞受賞」だ。「一昨年は名古屋で初の三賞。去年も敢闘賞。せっかくなら3年連続でもらいたい」と闘志を燃やしている。

 3年前まで名古屋は験のいい場所ではなく、幕内での9年間で勝ち越したのは08年の1度だけだった。流れが変わったのは、クレイデコレーション協会から化粧まわしを贈呈されるようになってから。一昨年の場所前に初めて贈呈されると自身最高成績の12勝で7年ぶりに勝ち越し。昨年は優勝した日馬富士に土をつけて10勝。今場所前も3年連続で化粧まわしを贈られ、「思いのこもったものをいただいた。結果を出したい」と意気に感じている。

 化粧まわしは三部作で、一昨年の「赤富士」は「心」、昨年の「勝ち虫トンボ」は「体」、今年の「三の矢鶴」は「技」を表しているという。クレイデコレーション協会の原志津香代表は今年の化粧まわしを「立ち合いの一の矢から、二の矢、三の矢を打つというイメージでつくった」と説明した。嘉風がその通りの相撲が取れたとき、自然と三賞に近づいていく。(佐藤 博之)

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2017年7月9日のニュース