NBAプレーオフで異例の事態 審判が試合直後に誤審認める 

[ 2016年5月3日 18:33 ]

審判団に猛然と抗議するスパーズのポポビッチ監督(AP)

 NBAプレーオフの西地区準決勝第2戦(2日=テキサス州サンアントニオ)で笛を吹いたケン・マウアー審判(61)が試合終了後に誤審があったことを認め、試合会場となったスパーズの本拠地、AT&Tセンターは騒然となった。

 問題の場面はサンダーが1点をリードして迎えた第4Qの残り13・5秒。タイムアウトのあとサンダーのディオン・ウェイターズ(24)のスローインで試合は再開されたが、同選手はボールを投げ入れる直前にサイドライン際で自分をマークしていたスパーズのマヌー・ジノビリ(38)の胸をひじで突いていた。

 スパーズのグレグ・ポポビッチ監督(67)は抗議したがプレーは続行。このあとスパーズはダニー・グリーン(28)がバランスを崩したサンダーのケビン・デュラント(27)からボールをスティールして反転速攻。ジノビリを経由して右のコーナーにいたパティー・ミルズ(27)にパスが渡り、ミルズが逆転を狙ってジャンプシュートを放った。このシュートはエアボールとなったものの、ゴール下にいたラマーカス・オルドリッジ(30)がボールをキープ。しかし必死に守るサンダーのディフェンスにさえぎられてシュートまで持ち込めなかった。

 敵地で貴重な白星を挙げたサンダーの選手は歓喜。しかし試合後にビデオを見たマウアー審判は「コートにいたときには気がつかなかったが、オフェンス側の反則だと思う。過去にこんなプレーは見たことがなかったが、笛を吹くべきだった」と語り、判定と対応が間違っていたことを認めた。

 NBAでは試合が終わるごとにリーグ側が審判の判定を再チェックしており、今プレーオフに入っても試合翌日に「笛はなかったが反則だった」と審判の誤審だったことを認める一件があった。

 勝敗は変わらないため、リーグ側の運営を批判する声もあるが、この日は審判自身が試合直後に誤審を認めるという北米4大スポーツの中でも異例の事態。本来なら1点を追いかけていたスパーズ側にスローインの権利を与えられた場面だっただけに、マウアー審判の発言は全米のメディアの注目を集める結果となった。

 もっとも選手側の反応は淡々としたもの。ひじ打ちをくらったジノビリは「結局、そのあとスティールしてシュートしてリバウンドまで拾って負けたから、あのプレーにどんな意味があるのかは分からない」と誤審に対しては大人の対応。ホームでは今季45試合で2度目の敗戦という手痛い黒星だったが、第3戦以降に引きずるような素振りは見せなかった。

 なおNBAではひじの使用は「フレイグラント1(過度の反則)」の対象。これをウェイターズがコールされていたら、スパーズにフリースローが与えられ、そのあとスローインとなる可能性もあったため、試合に大きな影響が出たとする見方も出てきている。

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2016年5月3日のニュース