五郎丸 年間最優秀トライ候補、あの南ア戦 11・1決定

[ 2015年10月29日 05:30 ]

「トライ・オブ・ザ・イヤー」の候補に選ばれた南ア戦での五郎丸のトライ

 ラグビーの国際統括団体ワールドラグビー(WR)は27日(日本時間28日)、日本代表のFB五郎丸歩(29=ヤマハ発動機)がW杯1次リーグB組初戦の南アフリカ戦(ブライトン)で挙げたトライが、今年の「トライ・オブ・ザ・イヤー」の6候補の一つに入ったと発表した。11月1日にロンドンで行われるWRアワード(年間表彰式)で、各協会関係者や選手ら出席者の投票で決定する。過去に日本代表選手が受賞した例は皆無。歴史的勝利に貢献したジャパンの副将に、新たな勲章が加わるか。

 あの感動のシーンが今年のベストトライの一つに認められた。9月19日、南アフリカ戦の後半28分、左ラインアウトから華麗なサインプレーがはまり、最後は五郎丸がインゴール右へ飛び込んだ。日本人の記憶に残る場面が、世界のラグビー史にも刻まれる可能性が出てきた。

 前日に浜松市のグラウンドでチーム練習に初合流したのもつかの間、この日は都内でEXILEのSHOKICHIとの映画関連イベント、フジテレビ「SMAP×SMAP」(11月2日午後10時放送)の収録に臨んだ五郎丸は「あの時、バックスがあまり調子良くなくてFWに迷惑を掛けていた。FWがラインアウトをしっかり取ってくれたのもあるが、バックスがこれ以上ない動きとタイミングとパスとキャッチとラン(をした)。最高のトライですね」と話した。

 ディフェンスラインの間隙を突く完璧なサインプレーは、イングランドに渡ってから考案し、練習を開始した。ただ、個々に複雑な動きが求められ、少しのタイミングのズレで全てが崩壊するほど繊細な一面も持つ。「練習で一度も成功しなかった」ほど難しいプレーを、南アフリカを相手に一発で決めたトライは、「SMAP×SMAP」の収録でもW杯のベストシーンに挙げた。一方で「僕が取りましたが、それまで14人がつないでくれた。日本のトライ」と15人全員の努力のたまものだとも強調した。

 今回ノミネートされた他の5候補や過去の受賞トライは、個人技によるものが多い。その中でチームプレーによるトライは異例で、それだけでも価値がある。しかも、五郎丸によれば、日本人のトライが候補に入ること自体が「初めて」といい、それだけでも快挙だ。

 今回創設されたファンによる「W杯最高の瞬間」投票にも南アフリカ戦での歴史的勝利が4候補の一つに挙がっており、結果発表が待たれる。

 ▽WRアワード(年間表彰式)国際ラグビーボード(IRB=現WR)が01年から開始した表彰式で、毎年11月に開催。創設当初は最優秀選手、同チーム、同コーチ、同女子選手などを表彰。07年から国際選手協会(IRPA)が関わる形で最優秀トライの表彰を開始。今回はIRPAのパネリストである元選手4人が6つの候補を挙げ、当日の出席者の投票により決定する。

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