照ノ富士、怒りの10連勝!頭突きで記憶飛び「ぶん投げてやる」

[ 2015年9月23日 05:30 ]

手投げで玉鷲を破った照ノ富士

大相撲秋場所10日目

(9月22日 東京・両国国技館)
 大関・照ノ富士が平幕・玉鷲を怒りの上手投げで下した。突っ張りに苦しみ、記憶を失いながらも、全勝を守った。横綱・鶴竜は関脇・妙義龍に2敗目を喫して優勝争いから後退。1敗は平幕の勢のみとなった。照ノ富士は2場所ぶり2度目の優勝に向けて一歩前進した。
【10日目取組結果】

 頭の中が真っ白になった。照ノ富士は立ち合いで鋭く飛び込んできた玉鷲の“頭突き”を顎に食らい、さらに左右で顎を強烈に突かれた。「何かが入っちゃってクラッときた」。脳振とうで意識がぶっ飛んだ。

 だが、体は動いた。突き押しに耐え、右腕をたぐられても、左で厳しくおっつけられても踏ん張った。「何も分からない状態で相撲を取っていた。気がついたら張っていた」。左の張り手で反撃を開始し、記憶が戻ると動き回る玉鷲をつかまえた。普段はケガ予防のため投げ技は極力控えているが「ぶん投げてやろうと思った。まわし取ったら倍返しだと思った」。左上手をつかむと、怒りをパワーに変えて豪快に投げ飛ばした。

 取組中に記憶を失ったのは、十両だった13年九州場所で大砂嵐に負けて以来2度目。勝因を問われると「稽古量じゃないですか」ときっぱり言った。場所中の稽古は調整程度にとどめる力士が多い中、照ノ富士は毎朝、若い衆とさまざまな体勢から激しいぶつかり稽古を繰り返す。だから、無意識の中でも体は自然に動く。日々の積み重ねが今場所最大の窮地を救った。

 無傷の10連勝だ。北の湖理事長(元横綱)は「勢いがある。8割方、逃げ切り態勢に入った」との見方を示した。照ノ富士自身は優勝について問われると、「普通。別にいいんじゃない」といつも通り平静を装った。だが、帰り際、支度部屋のテレビには鶴竜が行司差し違えで2敗目となるシーンが映された。「残念」。最大のライバルと2差がつき、口元が緩まないわけにはいかなかった。 

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