休場で重圧から解放? 白鵬への危惧 心身ともに復活できるか

[ 2015年9月23日 09:15 ]

精密検査を終え悔しそうに休場することを明らかにする白鵬

 大相撲の秋場所で横綱・白鵬(30=宮城野部屋)が初日から2連敗を喫し「左大腿四頭筋腱炎で4週間の加療を要する見込み」との診断書を提出し、3日目から休場した。新横綱の07年名古屋場所から8年余りで初の休場。史上1位の横綱連続出場は722日で、同1位の連続2桁勝利と昭和以降2位の連続勝ち越しも51場所で止まった。

 10年春場所からは一人横綱となり、角界が数々の不祥事にまみれた中でも第一人者として勝ち続けた。地方巡業にも全て出た。力量だけでなく、現役力士の鑑(かがみ)として品格を求められる立場でありながら、1度も休まなかったこと自体が奇跡的だった。

 だからこそ、危惧(きぐ)していることがある。8年余りも張り続けた緊張の糸がプツッと切れてはいないだろうか、ということだ。今場所2日目に嘉風に敗れた直後の支度部屋。体調面についての質問をされる前に自らの口から「足にちょっと違和感がある」と異変を明かした。支度部屋の取材で横綱が自らのケガを言及した記憶はこれまでにはない。翌朝、精密検査を行った病院の玄関前で休場を明言した際には「申し訳ない。自分の場合は今までやってきたから大目に見てもらいたいなと思います」と謝罪。その後、戻った宮城野部屋でも「今まで長年やってきたし、ショックな部分もある。残り13日間、土俵に立てなくて申し訳ない」と丁寧すぎるほどに対応した。その姿は、どこか長年の重圧から解放されているようにも見えた。

 ケガ自体は全治4週間と決して重傷とは言い難く、次なる九州場所(11月8日初日、福岡国際センター)までには治るだろう。しかし、心の糸をしっかりと結び直して土俵に戻れるかどうかは別問題。今場所で誰が優勝しようが、来場所最大の注目点はそこだと考えている。 (鈴木 悟)

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2015年9月23日のニュース