相撲界にもいる“清宮級”スター 高校総体で輝いた金の卵たち

[ 2015年8月12日 09:00 ]

全国高校総体の相撲個人で2年連続の高校横綱に輝いた金沢工の城山聖羅

 高校球児が熱戦を繰り広げる甲子園球場では早実の清宮幸太郎というスターが誕生。1年生スラッガーへの注目度は日に日に高まっているが、将来性抜群の“大型高校生”は野球界だけではなく、相撲界にも存在する。

 高校相撲の日本一を決める高校総体(インターハイ)は7月28~30日まで兵庫・淡路島で開催された。テレビ中継がなかったのが残念だったが、実に見応えのある大会となった。個人戦では金沢市立工業3年の城山聖羅(しろやま・せいら)が平成初の2年連続高校横綱の偉業を達成。1メートル84、160キロの堂々たる体格を生かした力強い相撲で予選から決勝まで危なげなく勝ち続けた。高校卒業後は東洋大に進むが、順調に成長すれば大卒後のプロ入りは確実。遠藤、逸ノ城のように幕下付け出しデビューから“ザンバラ旋風”を起こす日が今から待ち遠しい。

 団体戦では、その絶対王者を撃破した強者もいた。埼玉栄3年の鎌谷将且(かまたに・まさかつ)だ。決勝2―2で迎えた大将戦で城山を土俵際のうっちゃりで破り、主将としてチームを日本一に導いた。父は大相撲の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)、母方の祖父は元横綱・琴桜(故人)という角界のサラブレッド。今月2日の全日本ジュニア体重別選手権無差別級でも城山を破って優勝し、団体決勝の勝利がフロックではないことを証明した。既に進路は佐渡ケ嶽部屋と決めており、自らの父である師匠のことを「もう父親とは思っていない」と言ってのけた。初土俵はひとまず「琴鎌谷」と名乗るのか、それとも最初から父の「琴ノ若」を継ぐのだろうか。横綱大関まで出世を果たせば「琴桜」を継承する可能性もあり、想像は膨らむばかり。「団体の最後に負けたので、自分の中では個人を獲れたうれしさはない」と悔やんだ城山とのライバル物語はまだまだ序章を迎えたばかりである。

 ほかにも、鎌谷と同じ埼玉栄3年の納谷幸林(なや・たかもり)の進路にも注目。父は元関脇・貴闘力で、こちらも母方の祖父が元横綱・大鵬(故人)という偉大な血を継ぐ。入学当初は体の基礎ができておらず、高校生活でのメンバー入りは難しいとみられていたが、団体予選で中堅に起用されて勝利をつかんだ。同校の山田道紀監督は「真面目に努力してきて、この春から急に伸びた」と成長を認めた。

 大相撲は今年初場所から4場所連続で15日間満員御礼が続くなど人気が完全回復。近い将来必ずやプロの世界で日の目を浴びる“金の卵”が集うアマチュアに目を向けることも、相撲の楽しみ方の一つである。 (鈴木 悟)

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