新国立、2520億円を了承 整備費膨らみ、10月着工へ

[ 2015年7月7日 19:44 ]

新国立競技場の模型

 巨額の整備費に批判が集まっている2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアム、新国立競技場(東京都新宿区)の建設計画で、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)は7日、将来に向けた構想を話し合う有識者会議に、整備費が2520億円に膨らんだ最終的な計画概要となる実施設計を示し、了承された。

 2本の巨大なアーチなどデザインに伴う難工事に起因する整備費増は約765億円に上ることが判明し、あらためて見通しの甘さが浮き彫りとなった。JSCの河野一郎理事長は「予測できなかったこと」と弁明した。JSCは近く施工業者と契約し、10月の着工、19年5月の完成を目指す。

 昨年5月の基本設計段階では、整備費は1625億円だった。今回は大会後に先送りした開閉式屋根などの設置に必要な260億円を除いて計算しており、増加分は1155億円になる。これには消費税増税の約40億円、建築資材や人件費の高騰の約350億円も含まれる。

 2520億円の内訳は、屋根が950億円、スタンドなどが1570億円。完成後、50年間で必要な大規模改修費も、昨年8月試算の約656億円から約1046億円となり、約390億円増大。年間約3億3千万円の黒字を見込んでいた大会後の年間収支も、約3800万円の黒字と大幅に下方修正した。

 会議ではコスト削減などのため可動式の観客席約1万5千席分を仮設にする方針に対し、小倉純二・日本サッカー協会名誉会長が、将来的なワールドカップ(W杯)招致のために常設8万席は必須と強く主張。河野理事長は「少なくとも20年以降は常設する方向で検討したい」と明言した。

 有識者会議は主要関係機関のトップらで構成され、整備費の一部負担を求められている東京都の舛添要一知事や大会組織委員会の森喜朗会長らが出席。デザインの採用を決めた審査委員会で委員長を務めた建築家の安藤忠雄氏は欠席した。

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2015年7月7日のニュース