冨田 控訴せず…新証拠なく「勝たないと意味がない」

[ 2015年6月5日 05:30 ]

記者会見で控訴断念を表明する競泳の冨田尚弥

 昨年9月のアジア大会でカメラを盗んだとして韓国・仁川地裁が有罪判決を言い渡した競泳の冨田尚弥(26)が4日、名古屋市内で記者会見し、控訴しない意向を表明した。求刑通り罰金100万ウォン(約11万円)の判決が下ってから7日。控訴期限に合わせて弁護士を伴い、時折言葉を詰まらせながら「これ以上闘っても意味がない。控訴はせず、有罪のまま終わろうと思った」と力なく話した。

 会見の冒頭で国田武二郎弁護士が裁判でも流された防犯カメラの映像を流して説明。いつ撮られた映像か不明な点や、犯行現場とされる場所にいる人物が冨田かどうか、またカメラをいじっているかどうかも判別できないことを重ねて主張した。その後、冨田は主張が認められなかった上に、新たに提出できる証拠がないことなどから、控訴断念に至った理由を説明。「裁判はやるだけじゃ意味がない。勝たないと意味がない。皆さんが思っている以上に、裁判所で真ん中に立って有罪と言われることはつらい。ちょっと耐えられない」と青白い顔で漏らした。

 今後については「25年やってきた水泳を(今)やっていないし、裁判で疲れている。少し落ち着いて考えたい」と明言を避けた。だが、「今は給料もない。サポートもないし難しいと思う」と述べるなど競技を続けられる環境にはなく、現役引退に追い込まれることになりそうだ。

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