照ノ富士 3敗で大関消滅、出番前ファンに肩叩かれイラッ

[ 2015年5月21日 05:30 ]

白鵬(左)に上手出し投げで敗れた照ノ富士

大相撲夏場所11日目

(5月20日 両国国技館)
 関脇・照ノ富士は横綱・白鵬の上手出し投げに屈して3敗となり、今場所後の大関昇進は消滅した。出番前の花道で年配男性に肩を叩かれて心を乱され、白鵬から初勝利を挙げた春場所のような猛攻を見せられなかった。白鵬と平幕・魁聖が1敗で優勝争いのトップを並走。2敗は大関・稀勢の里、平幕・高安の2人となった。
【11日目取組結果】

 夏場所最大の注目カードに心ないファンが水を差した。出番前の西の花道。土俵下の控えに向かう照ノ富士がすれ違った年配男性に右肩を叩かれた。すると眉間にしわを寄せて振り返り、男性をにらみつけた。「俺の肩には神様がいる。触られたくない」。この様子をモニターで見ていた北の湖理事長(元横綱)は「神経が(目前の勝負に)いってる時に叩かれるのは嫌なもの。尾を引くぞ」と心中を思いやった。

 理事長の不吉な予感は的中した。立ち合いで左上手をつかんだが、白鵬にもろ差しを許した。右をねじ込んだが生命線の左上手を切られた。先手、先手で猛攻を仕掛けた春場所とは全く違う展開。強引に前に出たところを左上手出し投げで仕留められた。真っ赤な顔で支度部屋に引き揚げると「負けて当たり前。悔しさはない」と強がった。

 春場所に続いて白鵬を破れば“大関切符”をつかんだも同然だった。関脇以下で白鵬に連勝したのは、最近では琴奨菊(11年名古屋、秋)、鶴竜(12年初、春)、豪栄道(14年春、夏、名古屋)。連勝した場所後に大関昇進を果たしていたが、3人に続けなかった。

 先場所13勝を挙げ、今場所優勝なら大関昇進の可能性があったが、3敗目で優勝は遠のいた。審判部の井筒副部長(元関脇・逆鉾)は「今場所は厳しくなったでしょう」と終結宣言。「来場所へ向け、まず2桁勝ってほしい」と足場固めに集中するよう促した。

 唯一の救いは、本人が次へと気持ちを切り替えていることだ。「昔は(もろ差しで)そのまま一気に押された。今は残せるし右も差せた。もうちょっと頑張れば…と思う」と収穫を強調。場所前に目標に掲げた2桁勝利まであと2勝。「とりあえず、あすの一番です」。持ち前の明るさで奮闘を誓った。

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2015年5月21日のニュース