初代女王メンバー 鈴木、小さな体で「相手抜くチャレンジした」

[ 2014年11月17日 16:43 ]

大会ベスト7に選ばれた(左から)谷口、加藤、小出、大島、山中、斎藤、桑井
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 第1回の大学女子7人制ラグビー交流大会を制した立正大・東京学芸大合同チームの選手は、社会人もいるクラブチームのアルカス熊谷に活動基盤を置く。大会MVPに輝いた谷口令子(東京学芸大4年)をはじめ、桑井亜乃(立正大大学院2年)、鈴木陽子(立正大3年)、小出深冬(東京学芸大1年)と、今年のアジア大会日本代表選手4人を擁し、前評判通りの強さを見せた。

 鈴木は新設された貴重な国内大会を、代表への糧にしようと意識していた。「代表チームで一番小さい私は、大きい選手と戦う上でステップを磨かないといけない。この大会ではステップと相手を抜きにいくことに、思い切ってチャレンジしました」。3歳からラグビーを始め、クラブチームで経験を積んで11年に初の代表入り。1メートル50の体が、機敏に動き回る。

 対照的に、2年半という短いラグビー歴ながら代表の主力を張るのが桑井だ。帯広農、中京大では陸上円盤投げ選手。高校2年で国体5位に入った。ラグビーボールに初めて触れたのは「大学の授業」で、「純粋に楽しかった」という記憶が現在への道につながった。

 大学で指導を受けていたのはハンマー投げの元日本記録保持者・室伏重信氏。「ラグビーを始めることを伝えたときは、大丈夫か?と心配されました」。それでも、1メートル72の堂々たる体格を生かし、日本ラグビー協会が代表強化へ向けて女子の他競技アスリートの転向プロジェクトを仕掛けた波にも乗って頭角を現した。「体幹の強さは陸上のおかげ。それに、ラグビーボールと円盤は、指の引っかかりが似ているんです」。7人制の試合は短時間ながら、大会では1日で連戦をこなす。それを戦いきるフィットネスを課題に、さらなる飛躍を目指している。

 大島千佳にとっては、悔しい大会になった。創部2年目の追手門学院大の主将。Vチームには2試合とも完敗し、「もう少し通用するかなと思っていましたが、レベルの差、自分の無力さを痛感しました」と口にした。

 こちらも転向組だ。ハンドボール選手として実業団や韓国でのプレーを経験。中京大卒業後は東芝に就職し、営業の仕事をしていた。「もう一度スポーツをやりたい。やるからにはトップを目指したい」。25歳のとき、そんな思いでラグビー日本代表候補を募集するトライアウトを受けた。

 頸椎捻挫、左膝靱帯断裂…。故障を重ねても、情熱は衰えるどころか、さらにわき上がる。大畑大介氏が女子ラグビー部に携わる追手門学院大に今春、28歳で入学。さらなる成長を見据える。

 7人制ラグビーは16年リオデジャネイロ五輪から正式種目となった。大畑氏は大会前、こう来場を呼びかけていた。「五輪で輝く原石を見に来て欲しい」。秋晴れのグラウンドには、いくつものきらめきがあった。 

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2014年11月17日のニュース