酒井 ゴルフ誌レッスン読んで勝った!ショット復調、4打差逆転

[ 2014年9月29日 05:30 ]

優勝した酒井(右)は吉田弓美子の祝福に笑顔

女子ゴルフツアー ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン最終日

(9月28日 宮城県利府町 利府ゴルフ倶楽部=6499ヤード、パー72)
 6位から出た酒井美紀(23=国際スポーツ振興協会)が6バーディー、1ボギーの67で回り、通算8アンダー、208で6月のアース・モンダミン・カップ以来となる通算2勝目を挙げた。首位から出た渡辺彩香(21=ユピテル)は72と伸ばせず、通算7アンダーの2位に終わった。

 練習グリーンで優勝の一報を聞いた酒井は目を丸くさせた。「いつかは優勝したい大会だったけど、こんなに早くできるとは」。宮城でのプロ2勝目は東日本大震災に見舞われた地元・東北を勇気づける勝利になった。

 4打差を追う最終日だったが「トップ10入りを目指そう」と気負いはなかった。出だしの1番で6メートルを沈めるなどスコアを伸ばし、上位がそろって足踏みしたのを尻目に最終18番でも残り102ヤードの第3打を1メートルにつけてバーディーで締めた。

 最近は疲れのため、持ち味の曲がらない1Wに狂いが生じていた。そんな時、コンビニで手に取った雑誌「週刊ゴルフダイジェスト」に10、11年の賞金女王アン・ソンジュ(27=韓国)の1Wレッスンが掲載されていた。「バックスイングをゆっくり上げるなどリズムの面で参考になった」と記事を切り抜き、遠征にも持ち込んだ。予選2日間はそのアンと同組。ラウンド前には宿泊先で記事を読み込んで予習し、コースで「アンさんのショットを見てイメージがわいた」と勉強。宿泊先に戻ってからも記事を読んで復習した。すると次第に1Wが復調し、最終日にフェアウエーを外したのは18番の1度だけ。雑誌購入に費やしたわずか430円が優勝賞金1260万円に大化けした。

 福島県いわき市出身。震災で家の壁にはひびが入り、酒井の部屋の窓ガラスも大破した。被災地を勇気づけるためにも、東北で唯一開催の女子ツアーで「恥ずかしいゴルフはできない」と発奮。いいイメージでプレーするために初優勝を飾ったアース・モンダミン・カップの最終日と全く同じポロシャツを着用した。父でコーチの正孝さん(60)も「験担ぎの意味を込めてアースの最終日と同じシャツを着たよ」と応援に力が入った。

 控えめな酒井らしく「応援してくださる方のためにもテレビ中継に映る上位で頑張りたい」と今後の目標を語った。23歳の活躍が東北を明るく照らした。

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