日本代表 NZ戦へ気合 スタンドの2万人超と“スクラム”だ

[ 2013年11月2日 06:00 ]

ジャージー授与式でSH田中(右)に授与する小野沢

 ラグビー日本代表は1日、国内では26年ぶりの対戦となる2日のニュージーランド代表オールブラックスとのテストマッチへ向け、秩父宮で最終調整した。練習前のジャージー授与式には日本歴代最多81キャップを誇るWTB小野沢宏時(35=サントリー)が登場。故障中のトライゲッターから桜のジャージーを手渡されたフィフティーンが、世界ランク1位の王国に挑む。

 屈強な男たちが驚きの声を上げた。午前10時のジャージー授与式。ロッカーにスーツ姿の小野沢が現れた。登録メンバー23人とがっちり握手を交わし、ジャージーを手渡す。ピッチに立てない無念のトライゲッターの魂も受け取った選手は、誰もが決意を新たにした。

 主将の広瀬が明かす。「“僕はまだコーチじゃない。まだジャージーが着たい”と笑っていましたよ」。通常は指揮官が担う役だが、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)は脳梗塞で療養中。ならば、とスコット・ワイズマンテルHC代行のサプライズ演出で感動の儀式が実現した。

 日本歴代最多のキャップ81に加え、55トライは同2位。11年W杯でのオールブラックス戦では、日本唯一のトライを挙げたのが小野沢だ。本来なら代表に名を連ねる主力選手だが、今季はトップリーグ開幕戦で左肩を負傷。現在もリハビリ中で「プラスになるなら、やらせてもらおうと。選手がやるべきことを遂行してほしい」と力説した。

 決戦をスタンドで観戦予定の小野沢はファンに呼び掛けた。「ハカの時はスタンド全員で肩を組んで見守ったらいい。自然発生的にね」。試合前にニュージーランド代表が行う先住民マオリ伝統の舞で出陣の儀式でもある「ハカ」。日本の選手は通常、肩を組んで対峙(たいじ)することで気持ちを一つにする。これに2万人超のファンで膨れ上がるスタンドが加わって一体感を高めればフィフティーンにも大きな支えになる。国内でオールブラックスと対戦するのは26年ぶり。今回戦うのは15人だけではない。桜のジャージーをまとった戦士がファンと“スクラム”を組み、世紀の大波乱を演じる。

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2013年11月2日のニュース