妻にささげる…高山“愛の力”で5年ぶり3勝目

[ 2010年8月2日 06:00 ]

優勝し夫人の梢さんに歓喜のキスをする高山忠洋

 男子ゴルフツアーのサン・クロレラ・クラシック最終日は1日、北海道・小樽CC(7471ヤード、パー72)で行われ、高山忠洋(32=法仙坊GC)がD・チャンド(38=フィジー)とのマッチレースを制し、通算17アンダーで5年ぶりのツアー3勝目を挙げた。優勝会見では昨年6月に結婚した梢(こずえ)夫人(29)とのおのろけトークで喜びをかみしめた。第3ラウンドにコースレコードの63を出した石川遼(18=パナソニック)は73とスコアを落とし、14位に終わった。

【最終R成績


 最愛の妻にささげる勝利だった。18番で2メートルのパーパットを沈めると、高山は右拳を突き上げた。そして、照れながら駆け寄った女性をグリーン上で優しく抱きしめた。カメラマンに催促されるとほおにキスも。「そばにいてくれた妻の梢に感謝したいです」。結婚後初の優勝。夫の責任を果たし、やっと胸を張れた。
 ジャンボ軍団の一員だった縁で、ジャンボ尾崎のホームページ作成を手がけていた梢夫人と昨年6月に結婚した。梢夫人は今季、夫の試合はすべてついて回っているが「梢はボギーを打つと寂しそうに歩く。バーディーだと違う」と、高山は妻の存在を励みにしていた。
 最終日は妻の鼓動が聞こえてきそうな展開になった。第3ラウンドで首位で並んだチャンドと一進一退の攻防。互いに通算15アンダーで迎えた13番で8メートルのバーディーパットを沈め、一歩リードした。15番からは「胃が痛かった」と重圧がのしかかったが、17番で5メートルのバーディーパットを決め、5年ぶりの勝利を決定的なものとした。
 昨年はもう一つの転機があった。悩み続けた左手首の腱しょう炎を治すために、初めて個人トレーナーと契約した。秀島正芳トレーナー(28)の指導で手首のインナーマッスルと柔軟性を強化。一時は痛みでペットボトルのふたも開けられなかったが、今季は思い通りにスイングができるようになった。
 故障を乗り越えての勝利に、梢夫人は「夫のカッコ良さをあらためて認識しました」と涙ながらに喜んだ。一方の夫は「妻であるけど、まだ恋人であり、友達であり何でも話せる」と会見でのろけた。石川遼や薗田峻輔ら若手の台頭著しい男子ツアーにあって、それでも高山は「若手がたくさん出てきて肩身の狭い思いをしてきた。石川遼選手に負けないように頑張っていきたい」と言い切った。若手の勢いにも負けない愛の力で、“高山夫妻”が逆襲に転じる。

 ≪天国の祖父にも…≫高山のツアー通算3勝目は、昨年他界した祖父・松秀さん(享年82)にささげる勝利にもなった。命日は前日の31日。46位に終わった昨年の今大会2日目に肺炎のために亡くなった。前夜は和歌山市在住の父・学さん(62)から電話で「命がけでやってこい。こっちはこっちで(一周忌を)やっているから」とゲキを飛ばされていた。6月に墓参りをしており、今度は「優勝報告に行きたい」と話していた。

 ◆高山 忠洋(たかやま・ただひろ)1978年(昭53)2月12日、和歌山県生まれの32歳。星林では野球部に所属し、ソフトバンク・小久保の後輩にあたる。卒業後にゴルフを始め、3年後の99年にプロ転向。02年に初シードを獲得し、05年の東建ホームメイトカップでプロ初勝利。同年のアジア・ジャパン沖縄オープンにも勝利した。今大会でツアー3勝目。1メートル76、75キロ。得意クラブはサンドウエッジ。

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