伊達、故障に耐え14年ぶり白星

[ 2010年5月25日 23:55 ]

2回戦を突破し、笑顔を見せるクルム伊達公子

 【全仏オープンテニス】右ふくらはぎに肉離れを抱えた上、けいれんで脚を引きずり涙した。それでも、クルム伊達の勝利への執念はすさまじかった。痛みと2時間34分の激闘に耐えた末、四大大会での14年ぶりの白星に手が届いた。「信じられない。できることをやるしかないと思って臨んだ。今は冷静になれていない」と喜んだ。

 肉離れを起こした患部には、厚いテーピングが施されていた。異変が起きたのは最終セット。0―2となった後、右足首を曲げて顔をゆがめた。1―4で迎えた第6ゲームではボールを追うこともできず、泣きそうな顔で左手にラケットを持ち替えて相手のショットを打ち返した。治療も受け、試合続行は不可能かとも思われた。
 しかし、元世界4位の経験と気力で戦った。背中に痛みがあり、サーブミスを繰り返すサフィナを正確なショットで左右に振り回し、冷静さを奪った。最初のマッチポイントで相手のショットがアウトになると、苦痛にゆがんでいた顔が一気に笑顔になり、サブセンターコートのスタンドの夫と抱き合った。
 2年前「若い選手の刺激になれば」と12年ぶりに復帰。好成績を上げることで伸び悩む若手をあっさり抜き去り、杉山愛引退後は日本のトップだ。39歳のベテランは苦闘を制することで、世界で戦う上で必要な強い精神力を示した。(共同)

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2010年5月25日のニュース