親方が暴力団に便宜?特別席で50人が相撲観戦

[ 2010年5月25日 20:29 ]

 昨年7月の大相撲名古屋場所で、現役の親方2人が手配した土俵下の特別席の券を、指定暴力団山口組弘道会の幹部らが入手し、場所中の15日間に延べ50人以上の暴力団関係者が観戦していたことが25日、愛知県警への取材で分かった。

 県警は親方らが観戦に際し幹部に便宜を図った可能性もあるとみて任意で事情を聴いた。2人はいずれも「暴力団に渡るとは知らなかった」と説明したという。
 日本相撲協会もこうした事実関係を把握しており、協会は関与した40歳と64歳の親方の処分を検討している。27日に東京・両国国技館で開く定例理事会に2人を呼び、協議する予定。
 警視庁などによると、今年1月の両国国技館での初場所でも、指定暴力団住吉会系組長が特別席で観戦し、案内員に注意されて一般の観客席に移動。相撲協会の理事会でも報告されていた。
 64歳の親方は25日夜、共同通信の取材に対し「4、5年前から、もう1人の親方に頼まれ券を渡していた。行き先は知らなかった」と話した。
 相撲協会によると、幹部らが観戦していた特別席は一般販売していない「維持員席」で、協会に一定以上の寄付金を納めた有力な後援者に割り当てられる。一般的には「たまり席」と呼ばれ、土俵に近い位置から「砂かぶり」とも呼ばれる。入場の際に維持員の証明書と入場券が必要。
 県警によると、親方らは入場券を販売する「茶屋」と呼ばれる相撲案内所に15日間通しで観戦できる維持員名義の入場券数枚の手配を依頼。入場券は親方から複数の人物を介し幹部に渡り、幹部は証明書を何らかの方法で入手したとみられる。
 山口組6代目組長篠田建市(通称・司忍)受刑者(68)は元弘道会会長で、刑務所に服役中。土俵下はテレビ中継に映ることから、県警は弘道会幹部らがテレビ放送を通じて、自分たちの姿を同受刑者や服役中の組員らに見せようとしたのではないかとみている。
 初場所のケースでも、警視庁は名古屋場所と同様、テレビを通じて服役中の組員に姿を見せる目的だったとみており、維持員席の券の入手経緯などを調べている。

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2010年5月25日のニュース