錦織復活 死闘3時間36分制す「勝てて自信になる」

[ 2010年5月25日 08:53 ]

 マッチポイントのサーブで、トスを上げる左手が震えた。右ひじ手術を経て約1年間欠場した錦織が、苦しい季節を乗り越えた。ヒラルドのバックハンドがネットにかかると、こみ上げる感激に顔をしかめて天を仰いだ。「やっと終わった」。2年ぶりの四大大会勝利の喜びを味わった。

 今月に入りツアー下部大会で連続優勝したが、四大大会の相手は力が格段に上だ。序盤は相手の正確で巧みなショットに翻弄され、2セットを連取された。だが、第3セットのタイブレークをものにすると、体がトップレベルのテニスを思い出す。流れは逆転した。「このレベルで通用するか不安があった。世界50位台の選手に勝てて自信になる」と日に焼けた顔をほころばせた。
 3時間36分の長丁場を制したことにも大きな意味がある。昨年8月の手術後、米フロリダ州の練習拠点では医師や理学療法士とともに緻密な復帰計画をこなしてきた。試合中も「ひじどころではなかった」という。記者会見でもアイシングはしていなかった。下部大会の連戦に続き、猛暑の中で過酷な戦いを強いる赤土の上でも勝ち、体調も確実に戻りつつある。
 2回戦の相手は、2008年の全豪覇者で世界3位のジョコビッチ。「挑戦者としてどれだけ食らいつけるか楽しみ」。難関を突破した今の錦織に、怖いものはない。(共同)

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2010年5月25日のニュース