遼くん「長嶋さんとの握手で力もらった」

[ 2009年7月27日 06:00 ]

<セガサミー杯最終日>ホールアウト後、長嶋茂雄大会名誉会長にあいさつをする石川遼(左)

 遼くんのプレーがミスターを動かした。男子ゴルフツアーの長嶋茂雄招待セガサミー・カップ(スポニチ後援)最終日は26日、北海道千歳市ザ・ノースカントリーGC(7115ヤード、パー72)で行われ、首位と7打差から出た石川遼(17=パナソニック)が6バーディー、1ボギーの67をマーク。通算11アンダーの10位に終わったものの、一時は首位に3打差まで詰め寄る猛チャージを見せ、大会名誉会長を務める長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督(73)がわざわざ移動し2ホールのプレーを観戦した。藤田寛之(40=葛城GC)が通算16アンダーで逆転優勝し、通算7勝目を飾った。

【最終R】

 まるで導かれるように2人は再会した。首位と7打差から出た石川が猛追し、16番を終わって首位に3打差。例年は18番グリーン脇の観覧席からプレーを見守る長嶋氏が自ら希望して、石川の上がり2ホールを見るために17番へ移動した。電撃対面は17番グリーンから18番のティーグラウンドへ向かっていた時だった。
 「遼くん、遼くん!」。石川が声のする方を見ると、カートから降りて近づいてきた長嶋氏が手を差し出していた。昨年12月の青木功の紫綬褒章を祝う会以来、3度目の対面。驚いた石川は恐縮しながらも手を握り返した。17番でグリーン手前の池に入れ、ボギーを叩いて優勝のチャンスを逸した石川だったが、長嶋氏と再会したことで再び気持ちが切り替わった。
 「ティーショットの前に握手をし、力をいただいた」と最終18番パー5で1Wを振り抜くと、ボールは4日目にして初めて18番のフェアウエーをとらえた。「3日間ラフだったのに、長嶋さんのおかげで、気迫でフェアウエーに運べた」。芝が湿っていたためランが全く出ず、第2打は285ヤードも残った。そのため2オンできず結局パーに終わったが、カットラインぎりぎりで予選を突破しながら終わってみれば10位フィニッシュだ。
 「最終日に5アンダー。満足いくスコアです。全英オープンから帰ってきてすぐの大会で結果が出てうれしい」と顔には充実感があふれた。ホールアウト後はあらためて長嶋氏にあいさつ。「ずっと応援してたよ」と声をかけられ「来年、また(優勝に)挑戦します」と表彰式のグリーン上で再会することを誓った。
 初対面だった昨年から1年で石川も大きく成長した。ツアー2勝を挙げ、メジャー2試合に挑戦。長嶋氏は「やはり目を引いたのは石川遼選手でした。海外でのメジャートーナメントを経験して一回り大きくなった姿に驚かされました」と目を細め、さらに「17歳にして、世界で戦える風格が出てきましたね」と褒め称えた。
 「長嶋さんはすべてで見る人を引きつけていた方。どれぐらいの努力が必要か分からないが、全力でああいう選手を目指して努力したい」。ミスターの存在を目標に、石川がスーパースターの系譜を受け継ぐ。

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2009年7月27日のニュース