前代未聞の遅刻…白鵬 失態も賜杯奪回

[ 2009年7月27日 06:00 ]

白鵬は下手投げで朝青龍を下す

 横綱・白鵬が2場所ぶりに賜杯を奪回した。大相撲名古屋場所千秋楽の結びの一番で横綱・朝青龍と対戦し今場所一番となる44秒7の大相撲の末に右下手投げで退け、曙に並ぶ史上9位タイとなる11度目の優勝を飾った。来秋場所(9月13日初日、両国国技館)で尊敬する“昭和の大横綱”双葉山に並ぶ12回目の優勝に挑む。また、白鵬戦4連敗となった横綱・朝青龍は支度部屋で涙目になるなど珍しく意気消沈。力の差が、より浮き彫りになる結果となった。

 琴欧洲の逆転優勝の夢を見事に打ち砕いた。日馬富士を下して2敗を守り、土俵下で大関・琴欧洲が見守る中での結びの一番。立ち合い気合十分の朝青龍と左四つに組んだが、激しい巻き替えの応酬から最後は得意の右四つになると「慌てず無理に前に出ずタイミングを待っていた」と絶妙の呼吸から右下手投げ。自らも土俵下に転がり落ちながら44秒7の大相撲に終止符を打った。
 3度目の全勝優勝を果たした春場所以来2場所ぶりの賜杯。曙に並ぶ史上9位タイとなる11度目の優勝だ。険しい表情で支度部屋に戻ってきた横綱は、尊敬する昭和の大横綱に話題が及ぶとようやく顔をほころばせた。来場所、双葉山の12回の優勝に挑戦できることを振られ「新たな目標?そうじゃないと頑張っていけない。来場所15日間頑張る」と声を弾ませた。
 千秋楽のこの日は十両の取組の合間に恒例の協会あいさつが行われる予定だった。午後2時40分に三役以上の関取が武蔵川理事長を先頭に土俵入りして行われるはずだったが、時間になっても白鵬の姿はなし。まさかの遅刻で、予定は十両の全取組終了後に急きょ変更された。遅刻したのはわずか数分で車の故障と渋滞のためだったが、前代未聞の醜態。優勝したことで何とか汚名を返上することができた。
 きょう27日には、初めて長女・愛美羽(あみう)ちゃん(2)と昨年9月に生まれた長男・真羽人(まはと)くんを伴って家族全員でモンゴルに里帰りする。一番の目的はモンゴル相撲の元横綱で6度の優勝を誇る国民的英雄の父・ムンフバトさんに優勝を報告すること。今場所中に開催された国民的祭典「ナーダム」ではその父の愛弟子が優勝しただけに、直接吉報を届けたかった。
 再来日は来月3日。そこから2場所連続優勝へ向けた秋場所(9月13日初日、両国国技館)への第一歩を踏み出す。支度部屋で家族、後援会関係者らと満面の笑みで記念写真に納まった横綱は「目の前の目標に向けて一歩一歩」と力強く言い切った。

続きを表示

2009年7月27日のニュース