横綱昇進後初の屈辱…朝青涙目3場所連続V逸

[ 2009年7月27日 06:00 ]

悔しそうな表情を浮かべ土俵を降りる朝青龍

 【大相撲名古屋場所千秋楽】鬼の目にうっすら光るものがあった。哀愁漂う西の支度部屋。ライバル白鵬に叩きのめされた朝青龍はやりきれない気持ちを吐露した。「中に入れば何とかなるかと思ったが…。もう終わったよ」。うつむき加減に吐き捨てる表情はすっかり涙目になっていた。

 珍しく「朝青龍コール」を浴びての土俵だったが、アクシデントに襲われた。立ち合いに全神経を注いで得意の左差しに成功した。ところが、痛めている右肩に痛みが走って右上手を離してしまった。「右がしびれた。初めて」。やむを得ず相手有利の右四つで懸命の抵抗。勝負とばかりに両まわしを引きつけて前に出たが、土俵際で白鵬の下手投げに仰向けにされた。もどかしさいっぱいの横綱は「歓声が大きかったしね。それに応えたかったけど、できずに悔しい」と無念の表情だ。帰り際には、寂しそうに白鵬の表彰式が映し出されたテレビモニターを凝視。悔しさが再度去来したのか、報道陣を振り切るように足早に迎えの車へ。「悔しくて泣くのは久しぶりですか」の問いにも無言だった。
 横綱昇進後、3場所連続(途中休場をのぞく)でのV逸は初の屈辱。10勝に終わったことには「凄くいい道だったけど、途中で土砂崩れ」と独特の言い回しで表現したが、周囲の評価は厳しい。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)は「稽古で自信を取り戻すしかない」と突き放し、横綱審議委員会の沢村田之助委員も「(場所前の)1カ月のモンゴル帰国が尾を引いている。筋トレだけではダメだということ」と切り捨てた。
 朝青龍は場所後のモンゴル帰国について「帰りません。しばらく休みます」と否定。「この悔しさを(秋場所に)つなげれば」と巻き返しを誓ったが、右肩痛は致命傷になる可能性もある。復活ロードはますます険しいものとなった。

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2009年7月27日のニュース