若手力士に悪影響も…喜べぬ角界

[ 2008年3月23日 20:05 ]

 朝青龍の復活優勝を、素直に喜べない空気が角界には流れている。

 2場所の出場停止処分を受けたのが、ほんの半年前。それなのに、朝青龍は処分前の姿にすっかり戻ってしまった。再出発の初場所の必死さは影を潜め、中盤戦以降の支度部屋では出番前にモンゴル出身力士と笑顔で雑談する日も。週刊誌による八百長疑惑報道が“チェック機能”を果たし、緊迫感を生んだ昨年春場所とは大違いだ。
 朝青龍が復活させたのは、強さだけではなかった。相手と呼吸を合わせず、手もつかない速すぎる立ち合い。無用な駄目押し。幕下以下の外国出身勢がまねする場面が、今場所は特に目立った。
 マナーも乱れてきた。白鵬に初挑戦したロシア出身の19歳、若ノ鵬が仕切りから必要以上に横綱をにらみつけた時は、役員室でテレビを見ていた武蔵川事業部長(元横綱三重ノ海)が怒りをあらわにしたほど。後輩が先輩に平気で張り手を見舞う光景も、ひと昔前ならありえないことだった。
 すべて朝青龍のせいとは言えないが、問題の多い横綱が再び角界に君臨することの悪影響は少なくない。潔い土俵態度で知られた元大関武双山の藤島親方は「相撲はただスポーツではない。目上の人に敬意を表することが、この世界の誇れるところだったはず。それを絶対に薄れさせてはいけない」と、荒っぽくなった土俵に警鐘を鳴らした。

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2008年3月23日のニュース