×

高額療養費引き上げ巡り、がん関連学会が続々声明 日本乳癌学会「自己負担上限額引き上げ凍結を」

[ 2025年2月27日 17:11 ]

 医療費の支払いを抑える「高額療養費制度」の利用者負担を引き上げる政府方針を巡り、一般社団法人日本乳癌(がん)学会など関連する学会が続々と声明を発表している。

 日本乳癌学会は26日、公式サイトで「高額療養費制度上限額引き上げに関する緊急声明」を発表。政府方針は「乳癌患者を含む多くのがん患者の経済的負担を増大させ、適切な治療継続を困難にする恐れがある」と指摘した。

 乳がん治療について「手術のみならず、術前・術後の薬物療法や放射線療法など、多岐にわたる集学的治療が主流である。さらに、再発・転移に対する治療や、治療の長期継続に伴う合併症への対応など、患者は多面的な医療を受けることとなる。その結果、高額な医療費がかかるケースも少なくなく、高額療養費制度による負担軽減が治療継続の要となっている」と説明し、「自己負担上限額が引き上げられれば、治療継続をためらう患者が出ることが懸念される。早期治療の機会を逃すことで、患者の予後は悪化し、さらなる高額医療費が必要となる可能性や社会的負担が増大する可能性がある」と負担引き上げが受診控えを引き起こし、返って高額の医療費が必要となる可能性も指摘した。

 また、医療費全体に占める高額療養費の割合は6・3%だとし、医療費の抑制は「他の医療費の見直しにより対応が可能と考える」と考えを披露。そして利用者負担上限額引き上げの凍結と、「患者や専門家との対話・情報公開を踏まえた透明性の高い政策決定プロセス」を求めている。

 日本胃癌学会は26日、公式サイトで掛地吉弘理事長の名で声明を発表。利用者負担引き上げによって「今まで実施できていたがん薬物療法などが、患者さんの経済的な理由により実施できなくなる可能性があります」とし、「抜本的な議論の中で、再検討されるべき」と訴えた。

 日本臨床腫瘍学会、日本癌学会、日本癌治療学会は27日に共同で声明を発表し、「今回の政府案は引き上げ幅が大きく、がん患者さんにとって過重な負担が生じ、本来実施すべきがん治療の実施に大きな弊害が生じることを憂慮します」とし、慎重な検討が必要としている。

 このほか、日本肺癌学会、日本緩和医療学会なども緊急声明を発表。政府方針の見直しや、患者や医療現場も参加する慎重な議論を求めている。

 厚生労働省は自己負担の上限月額を今年8月から段階的に引き上げる方針を示したが、がん患者団体などから反対意見が続出。これを受けて政府は長期治療を受けた人の負担を据え置くよう、方針の一部を修正した。立憲民主党などは引き上げ凍結を求めているが、石破茂首相は21日の衆院予算委員会で政府方針を維持する考えを表明している。

続きを表示

「大谷翔平」特集記事

「騒動特集」特集記事

社会の2025年2月27日のニュース