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森保一監督の素顔に迫る 見て、寄り添って、広める マネジメントを支える“サッカー愛”

[ 2026年5月15日 05:15 ]

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就任8年目を迎える日本代表の森保監督
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 2大会連続でW杯の指揮を執る森保一監督(57)は22年カタール大会後の第2次政権で89人を招集した。ヘッドコーチ型からマネジメント型にタイプを変え、名波浩氏(53)、斉藤俊秀氏(53)ら7人のコーチを束ねてきた。本人や関係者の証言を通して、森保流のチームマネジメント、素顔に迫る。(取材・構成 木本 新也)

 代表活動期間中の練習で、森保監督はいつも一歩引いた場所にいる。GK陣を含めた全体像を俯瞰(ふかん)できる位置から熱視線を送り、各選手のプレー、細かい表情の変化も見逃さないようにじっくり観察。「メンバー選考では見ることが何より大切だと思っている」。就任8年目を迎える指揮官のマネジメントの根幹を成すのが“見る”ことだ。

 第2次政権では89人を招集しており、7人のコーチが担当制で所属クラブでのプレーを確認。森保監督は担当選手を持たず、可能な限り映像を見て各コーチと評価を擦り合わせる。代表選手の大半が所属する欧州のリーグだけでなく、Jリーグも毎節最低5試合、時間が許せば全10試合をチェック。「発掘と発見は常にある」。仕事場や自宅、移動中も複数のタブレットを開いて試合を見る日々を過ごしてきた。

 J1で3度の優勝を果たした広島監督時代も見ることを重視した。関東での公式戦翌日にサブ組の試合が関西である際は、トップチームと一緒に広島に戻り選手を見送った後に関西入り。試合後の選手の様子を見届けた上で、サブ組の試合にも必ず足を運んだ。広島時代に強化部長として森保監督を支えた足立修氏(53=現Jリーグフットボールダイレクター)は「誰よりも早くグラウンドに来て、誰よりも遅く帰るのが森保さん。誰が最後まで体をケアしていたか、など事細かに見ていました」と明かす。

 徹底的に選手に寄り添うのも森保流だ。国際Aマッチに向けた合宿に招集しながらベンチ外になる選手にはメンバー発表前に直接部屋を訪れて謝意を伝え、起用しない理由を丁寧に説明する。広島監督時代には体調不良で全体練習に参加できない森崎和幸氏(45)の早朝ランニングに「ダイエット」を理由にほぼ毎日付き合った。代表監督就任後も体調の安定しない森崎氏を心配して定期的に交流。森崎氏は「“代表選手でもないのに、なんでここまでしてくれるんですか?”と聞くと“自分がしたいからしてるだけ”と言われました」と回想する。

 律義な性格で、指揮するチームの試合の入場券を知人から頼まれると自腹で手配する。広島時代は数百枚単位の購入も珍しくなかったという。オフは自主的にスポンサーのあいさつ回りを買って出る。足立氏は「日本代表戦のチケットも自腹で相当な枚数を購入していると聞いています。人とのつながりを大切にする人。正直で裏表がないから周りがついていきたくなる」と証言。打算がないから、人望が集まる。

 「サッカーに対して誰よりもピュア。それが森保君の突き抜けているところ」

 こう語るのは森保監督から“総監督”と慕われる市原義明氏(65)だ。京都を中心にタイヤ・ホイール専門店を経営。森保監督の京都選手時代に交流が始まり、付き合いは30年近い。現役時代に自宅に泊まりに来ると、時間があればサッカーの映像を見ていた。広島監督時代に2人で石垣島を旅行した際は地元の少年サッカークラブの練習をアポなし訪問。草の根の活動を支える指導者に「ありがとうございます!」と感謝を伝え、驚かれていたという。

 現在はW杯優勝を目指す上で、日本代表を全国民の関心事にする必要性を感じておりプライベートでもPR活動に精を出す。移動中に写真撮影に応じることも多く、長い時は20分以上も足を止める。最近は時間短縮のためスマホを受け取っての自撮りが基本スタイルで、セルフィーの腕は格段に上がった。足立氏は「久々に会った時に自撮りを連発しているので、女子高生かと思いました」と笑う。

 市原氏は「選手時代はうまくなりたい。指導者になってからはいい監督になりたい。そして今はW杯で勝ちたい、サッカーを国技にしたい。その気持ちがとことん純粋なんです。メディアで“監督をクビになってもカバン持ちとして日本代表にいたい”と言っていましたけど、あれ本気ですからね」と強調した。どこまでも実直に、純粋に。国歌斉唱で毎回涙する指揮官の選ぶ26人に妥協や忖度(そんたく)はない。

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