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スイス1部・トゥーン昇格1季目の“おとぎ話V” 創設128年、人口4万5000人の街が歓喜

[ 2026年5月5日 05:00 ]

初優勝を喜ぶトゥーンの選手とサポーター(AP)
Photo By AP

 サッカーのスイス1部で昇格1季目のトゥーンが、ミラクルな優勝を決めた。2日のバーゼル戦には敗れたものの、3日に2位のザンクトガレンも敗れたことで勝ち点差は11のまま、3試合を残して初の栄冠が決まった。人口わずか4万5000人の街に本拠を置くクラブが創設128年でつかんだ初タイトルは、欧州各地で「おとぎ話のよう」などと驚きを持って報じられた。

 美しい湖畔の街から“シンデレラストーリー”が生まれた。今季6季ぶりに1部に復帰したトゥーンが昨季王者バーゼルやヤングボーイズなどの強豪を抑えて昇格チーム過去最高勝ち点かつリーグ最多76得点で優勝した。本拠地のラウンジで優勝を見届けた後、ピッチを埋め尽くしたファンの前に登場した選手はシャンパンシャワーで歓喜に酔いしれた。

 3度目の就任で古巣を頂点に導いたルストリネッリ監督は「我々は欧州規模で歴史をつくったんだ」と涙を流した。市庁舎広場での祝賀会は夜まで続き、噴水によじ登った選手を真っ赤な群衆が取り囲んだ。各紙に「おとぎ話のよう」「レスターのプレミアリーグ優勝に匹敵する」という見出しが並んだ。

 複数の欧州メディアによれば開幕時の市場価値はリーグで下から2番目、昨オフに費やした移籍金はバーゼルの1800万ユーロ(約33億1000万円)に対し、200万ユーロ(約3億7000万円)ほど。それでも現役時代の04~05年にクラブを最高成績の2位に導いた指揮官は「サッカーは数学ではない」と力強かった。

 今季チーム最多13得点の北マケドニア代表FWラストダーは24年夏の加入まで1部での得点なし。最多タイ7アシストのDFフェールは昨季まで1部での出場が1試合だった。高い位置で奪い、素早い切り替えで攻撃を仕掛けるスタイルの中で眠れる才能が次々と開花。他の強豪に比べてオフの入れ替わりが少なかったことも強固な戦術の基盤となった。

 昨年12月以降は破竹の10連勝を飾り、終盤5試合で4敗と失速しても優勝するほどの貯金を残した。街の人口は鹿島の本拠・鹿嶋市の約6万4000人より少ない4万5000人。昨夏にはスイス協会がトゥーンに新本部を建設すると発表した。サッカー界では無名だった街が、一躍、スイスの中心地に躍り出てきた。

 ▽欧州の主なリーグ戦の番狂わせ 1997~98年のドイツ1部ではカイザースラウテルンが史上初めて昇格1季目でリーグ制覇。15~16年のプレミアリーグではFW岡崎慎司を擁する総額年俸リーグ17位のレスターが創設133年目にして初優勝。昨季はスウェーデン1部で人口1500人に満たない南部の漁村ヘレビクを拠点とするミャルビーが初めて頂点に立った。

 ▽トゥーン 1898年に創設。過去最高成績はルストリネッリ監督が20得点した04~05年シーズンの1部2位で翌シーズンの欧州CLでは下馬評を覆す予選突破から1次リーグ3位。現会長で元スイス代表MFのゲルバー氏も主力として活躍した。他に2度の2部優勝、2度のスイス杯準優勝。現本拠地ストックホルン・アリーナは11年に開場。

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