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小野伸二は「最後まで楽しむ」 12・3古巣・浦和と引退試合、独占インタビューで心境告白

[ 2023年12月3日 05:30 ]

「楽しむ」と記した色紙を手にする小野(撮影・高橋 茂夫)
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 サッカー元日本代表で、コンサドーレ札幌のMF小野伸二(44)が3日、J1最終節の浦和との引退試合(札幌ドーム)を前に、スポーツニッポン新聞の独占インタビューに応じた。プロキャリアをスタートさせた古巣とのラストマッチも、「楽しむ」をテーマにピッチを駆け回る。また、11月29日には自叙伝「GIFTED」(幻冬舎)が全国で発売。特別版のメモリアルカバーも札幌、浦和で限定発売されている。

 ――現役生活25年。自叙伝も執筆。引退を控えても常に笑顔だが、現在の心境は?
 「全然実感は湧かないし、いつもと変わらない毎日を過ごしている。きっと、3日も何も変わることはないし、とにかく毎日サッカーを楽しんでいて、凄く充実している」

 ――クラブに引退を伝えて4カ月。感傷に浸ることはないか?
 「現役が終わるなという感じは、まだない。きっと次のシーズンが来たときに“あっ、もう練習に行かないんだ”となって、現役が終わったと感じるんじゃないかな」

 ――サポーターは、最後の姿を目に焼き付けたい。浦和戦のチケットも完売。
 「完売、うれしい響きですね。やっぱり、満員の中でプレーできる喜びというのは格別だし、他の選手たちはまだ知らないと思う」

 ――満員の中でプレーすることは特別?
 「(コンサドーレの後輩には)ここで、その感覚を感じてもらえれば。もっと貪欲に試合に勝ちたい、もっと勝てば、もっとたくさんの人が試合を見に来てくれると思う。そうなれば、チームは次のシーズンをいい形で迎えられると思う」

 ――W杯、五輪に出場し、UEFA杯でも優勝。一方で、99年シドニー五輪アジア1次予選では左膝じん帯断裂など、数々の故障に苦しんだ。もっと上手になりたかったか?
 「やっぱり、そういう気持ちはありますよね。でも、こういうものは必然なので。あのケガがなければ、と言われることがよくあるけど、そういう運命だった。僕はここまでの選手だっただけ」

 ――色紙には、引退直前の心境として「楽しむ」と記した。
 「サッカーだけじゃなく、全てにおいて楽しむことをずっと掲げてきている。それを実践しようと、普段からそういう気持ちでいる。サッカーだけじゃなく人生楽しむ。それがサッカーにも通じていたと思う」

 ――執筆した自叙伝には10人きょうだいの五男であること、引退試合を目前に亡くなった母親のことも赤裸々に描かれている。
 「今までも自分の書籍は出ているけど、自分の言葉で書いたことはなかった。現役引退する一区切りのときに本を出したいと思った。執筆も楽しくできた」

 ――プロキャリアをスタートし、最後に対戦する浦和では06年にJリーグ優勝も果たした。自叙伝でも描かれているが、高校時代は強豪・清水商(現清水桜が丘)のスター選手だっただけに、周囲は清水エスパルスに行ってほしかった。
 「浦和への入団経緯は一番の見どころ。(当時清水は経営危機の報道もあり)入団前の自分の置かれた環境から、どうやってクラブを選ぶかを、自分で考えた。なかなか、今の子たちはできないんじゃないかと思う」

 ――最後に、小野伸二という選手を通じて、子供たちに感じてほしいことは?
 「環境は大事だけど、環境のせいにするのではなく、自分の考え方や人に対しての、感謝を持ち続けてほしい。サッカーにおいては、最後まで楽しむ。苦しいこともたくさんあるけど、自分が好きだというものを忘れずに、やり続けてほしい」


 ≪「スタートから」ミシャが先発明言≫ 小野は3日の古巣・浦和戦で先発出場が濃厚となった。ペトロヴィッチ監督が2日の練習後に「明日スタートから出てもらうことを予定している」と明かした。小野も「試合を楽しませて、みんなで全力で勝ちにいきたい」とラストダンスへ意気込みを口にした。

 ◇小野 伸二(おの・しんじ)1979年(昭54)9月27日生まれ、静岡県出身の44歳。98年に清水商(現清水桜が丘)から浦和に加入し、Jリーグをはじめオランダなどで活躍。日本代表でW杯3大会出場、国際Aマッチ通算56試合6得点。1メートル75、75キロ。利き足は右。家族はモデルの千恵子夫人と長女・夏蓮(かれん)さん、次女・里桜(りお)さん。

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