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梅山修氏 J1新潟、確率高いプレーの選択が同点&逆転弾生んだ

[ 2023年4月18日 04:31 ]

ハットトリックを決めた新潟・伊藤
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 【元アルビ・梅山チェック 新潟3―2福岡】前半2点のリードを許しながらも、後半に3点を奪って逆転するという劇的な勝利を見せた新潟。実は確率論で言えば0―2でリードされているチームが逆転勝利する確率は約3%程度しかない。むしろ2―0でリードしたチームが勝利する確率は、J1の過去4年のデータでは約92%、プレミアリーグでも約90%と言われている。

 今でも時々耳にする「2―0は危険なスコア」は、その逆転劇が印象的なのでよくあるケースのように思われがちだが、データ上は事実ではない。その同点弾と逆転弾がそれぞれ90分を過ぎたアディショナルタイムの93分と95分であったこと、3得点とも伊藤が決めたものというストーリー性からも、さらに強い印象を残す結果となった。

 この大きな勝因の一つは後半早々の得点だ。2―0の状態でリードしているチームの勝率は前述のとおりだが、2―1になった瞬間にその確率はガラッと変わる。リードしているチームの焦りと、1点差に詰め寄ったチームの勢いが反比例する瞬間である。

 とはいえアディショナルタイムまで得点は動かなかったが、終了間際であっても、また押し込まれても、アバウトに前方や相手ゴール前に放り込むのではなく、人から人へと確率の高いプレーを選択する新潟スタイルでゴールに向かったことが、同点&逆転弾を生んだと言っていいだろう。

 ただ、手放しで喜んでばかりはいられない。試合全体としては4―4―2のブロックから縦パスを待ち受け、狙い、素早く2トップにつなげていく福岡のコントロール下にあった試合とも言えるからだ。

 自陣にブロックを敷いてカウンターを狙うチームに対する攻略法は、相手を縦パスで集結させたり横パスで広げたりしながら、意図的にスペースを作っていくことが有効になる。次節ホーム鹿島戦ではこの点での成長が見られるだろう。(アルティスタ浅間監督)

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2023年4月18日のニュース