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元日本代表MF磯村亮太さん 今度は就活に悩む人のために走り回る32歳オールドルーキー

[ 2023年4月12日 07:00 ]

名古屋や長崎で活躍し、マイナビで新たなキャリアをスタートさせた磯村亮太さん
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 【スポニチ蹴球部コラムFootひと息】ユニホームからスーツに、スパイクから革靴に。名古屋や長崎などで活躍し日本代表にも選出された磯村亮太さん(32)が昨年限りで14年間の現役生活にピリオドを打ち、今年4月から大手人材・広告事業会社のマイナビで社会人としての第一歩を踏み出した。

 「指導者には興味がありました。でも高卒でプロになって、サッカーだけしてきた人生。そのまま指導者になったら伝えられるのは、サッカーのみなんじゃないかと。例えば育成に関わったとして、多くの子はプロにはなれません。サッカーの世界しか知らない自分が、その子たちの責任を背負えるのか。もちろん、できる指導者もいると思いますが、いろいろ経験した上で関わった方が幅を広げるのではないかと」

 引退を決意した直後は白紙状態だった。ただ、誰かの紹介でセカンドキャリアをスタートさせるのではなく、多くの一般人と同じく就職活動することは決めていた。面談を受けた企業は人材派遣会社だけではなく、不動産関連や美容系など計8社。選択肢を多く持ち、その中からマイナビとの縁を大事にした。

 同社ではアスリートキャリア部門に配属された。主な業務は体育会学生やスポーツ選手の就職、転職活動のサポート。月曜日と金曜日は在宅勤務で、火曜日から木曜日までは午前9時15分から午後5時45分まで業務に携わる。デスクワークが中心で「今まで聞いたことがないような言葉も出てくる」と笑うが「早く仕事を覚えたい気持ちだけです」と意欲に満ちあふれている。

 名古屋U―18時代の先輩でもあるDF吉田麻也(シャルケ)からは「俺らはサッカーしかしていない。他の世界に挑戦するのは良いことだよ」と背中を押してもらったという。名古屋で先輩だった楢崎正剛GKアシスタントコーチから「グランパスの育成とか良いと思っていたけどな…」とも惜しまれた。

 「サッカーにどう関わるか、自分がどうなっていきたいかも見えていない部分があります。でも立派なビジネスパーソンになりたいからこの世界に来たのです。そこに向かって走り、走っていく中でいろんなものが見えてくればいいですね」

 現役時代は中盤だけではなく、DFラインでもプレー。気配りや気立てが良く、味方のために走り回る選手だった。そして今、32歳のオールドルーキーは就活やセカンドキャリアに悩む人たちのために走り回る覚悟だ。(飯間 健)

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2023年4月12日のニュース