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【阪神大震災28年】和田昌裕氏「力になりたい」強い思いで移籍した神戸 震災を風化させないことは使命

[ 2023年1月17日 06:00 ]

95年、G大阪に所属していた和田
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 阪神大震災から28年が経過した。震災当時は選手として活躍していたG大阪の和田昌裕取締役(57)が「1・17」に思いをはせた。

 和田氏は28年前のこの日を「今も鮮明に覚えている」と話す。当時はG大阪に所属。大阪市城東区のマンションで被災した。「テレビをつけても神戸の震度だけが出ていない。実家(神戸市灘区)への電話もつながらない」。不安が募る中、昼過ぎに当時清水所属の永島昭浩氏から連絡を受け、一緒に神戸方面へ向かった。

 通常、大阪市内から神戸市までは車で1時間も要さない。だが「物が倒れていて道がなかった。信号も止まっていた」。6時間かけて帰省。家族は無事だったが一晩中、余震の恐怖に耐えた。
 実はこの時、神戸(当時JFL)への移籍話が進んでいた。震災によって交渉は頓挫したが「力になりたい」思いはより強くなった。同年夏に移籍すると、96年からは勝利給の一部を寄付する活動を始めた。そして97年のJ昇格に貢献した。

 14年にタイ・チョンブリの監督を務めるまで毎年、震災発生の5時46分に神戸市中央区の東遊園地で催される追悼行事に参加。「どれだけ復興しても被災した方は一生忘れない。震災の日は毎年苦しい。次の世代に伝えていくことが大事」。いちサッカー人として、震災を風化させないことも使命の一つだ。(飯間 健)

 ◇和田 昌裕(わだ・まさひろ)1965年(昭40)1月21日生まれ、兵庫県神戸市出身の57歳。御影高、順大を経て87年にG大阪の前身、松下電器入り。93年5月16日浦和戦でG大阪のリーグ初得点を記録した。95年夏に当時JFLの神戸へ移籍。96年のJ昇格に貢献して98年に現役引退。その後は13年まで神戸監督や強化部長を歴任。20年2月にG大阪強化アカデミー担当参与、22年4月から取締役に就任。

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2023年1月17日のニュース