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U24・久保 「あわよくば1点が凄く遠かった」途中交代も「出せるものは全部出した。涙も出てこない」 

[ 2021年8月4日 05:30 ]

東京五輪第12日 サッカー男子準決勝   日本0―1スペイン ( 2021年8月3日    埼玉 )

<日本・スペイン>ベンチで悔しそうな表情を見せる久保(撮影・西尾 大助)
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 死闘の終了を告げる笛が鳴ると、MF久保はベンチ前で座り込んでぼう然とピッチを眺めた。「出せるものは全部出した。涙も出てこない。変な感じですね。負けたけど次もありますし、かといって切り替えられるほどまだ僕も強くない」。向けようのない悔しさが、自身の中で膨らんでいく。到達すると公言していた決勝戦の舞台は、“第二の故郷”とも言えるスペインの前に幻に終わった。

 
 優勝候補の守備陣の厳しいプレッシャーを受け続けた。1次リーグは日本初となる3試合連続ゴール。準々決勝のニュージーランド戦までの4戦のような輝きは影を潜めた。大きな見せ場は後半33分、カウンターからペナルティーエリア内に進入し、迷いなく左足を振り抜いたシーンくらい。これも名手シモンにセーブされてしまった。90分で無念の途中交代。「あわよくば1点という戦いを選択したが、そのあわよくば1点が凄く遠かった」。力負けを認めるしかなかった。

 メンタル面の成長が久保をU―24日本代表のエースに押し上げた。FC東京に所属した18年シーズンの途中に横浜へのレンタルを経て、翌年にチームに復帰。長谷川健太監督は「子供のメンタルだったのが、大人のものに変わった」と評価した。思うように出場機会を得られない挫折を経て、内面が変化。周囲の声に耳を傾け、必要な要素を取り入れる。フィジカルコーチに足りない部分や自身が試合で出した数値を聞きに行ったのも、一度や二度ではない。そうして殻を破った。

 金メダルの夢は散った。しかし、前進を止めるわけにはいかない。次戦は6日の3位決定戦のメキシコ戦。「せめてものけじめで(吉田)麻也さんと(酒井)宏樹君に銅メダルを渡して。あの人たちは僕たちよりも悔しい思い、2回目だと思うので。それで帰りたい」。1次リーグで対戦した際に前半6分の電光石火弾でチームを勝利に導いた背番号7が、68年大会以来のメダル獲得へとチームをけん引する。

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2021年8月4日のニュース