鳥栖、赤字20億円で破綻危機…今季J1公式戦中断でさらに経営悪化も
J1鳥栖が26日、2019年度(19年2月~20年1月)の収支決算を発表し、当期純損益は20億1486万円の赤字となった。前年度も5億8178万円の赤字で、2期連続の赤字。ウェブ会見した竹原稔社長(59)は「天文学的な数字の赤字」と苦渋の表情を浮かべた。
19年度の売上高は25億6160万で、前年度から約17億円も減少。特に前年度は過去最高の約22億9600万円を計上した広告収入が、背中スポンサーを務めたゲーム制作会社「Cygames」の撤退などで、約8億1000万円と約15億円も激減した。
18年から加入し昨季引退した年俸約5億円のFWフェルナンド・トーレス氏ら複数年契約選手も財務を圧迫していた。売上高約25億円に対し、チーム人件費は約24億円。今年1月に組んだ予算では人件費を約11億6900万円まで削減し「調整を終えた。育成型チームに移行する」と今後を見通した。
それでも、暗雲は立ち込めている。増資で債務超過は回避したが、今年2月には胸スポンサーだったDHCも撤退。さらにコロナ禍による公式戦延期が追い打ちをかけている。チケット収入が閉ざされた中、懸念される資金繰りについては「他のJ1より(資金ショートが)早いと思っていただけたら。いかなる手段を取っても存続に向けて全力の努力をする」と、Jリーグの特例融資を含め支援を募る考えだ。唯一の救いは、クラブライセンス停止条件の3年連続赤字ルールがコロナ禍で今季は免除される見通し。ただ来季も赤字ならライセンス剥奪もありえる。30日にはオンラインのサポーターミーティングで改めて報告する。クラブ存続へ正念場を迎えた。
《同じく2期連続赤字 札幌も厳しい状況》他クラブも今季は厳しい経営を覚悟している。2期連続の赤字を発表した札幌は今季の最終赤字は3億7800万円と見込んでおり、Jリーグなどからの融資も視野に入れている。野々村芳和社長は経営状況について「純資産は5億円ほどで、10月にキャッシュが尽きる可能性がある」と語る。選手は日本スポーツ界で初の年俸総額約1億円の“自主返納”をクラブに申し入れている。鹿島の小泉文明社長は「おそらく10億、20億円の単位で(収入が)落ち込む可能性もあると思っている」と話す。
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