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ジョージ・ウェア氏が大統領に!元プロサッカー選手では世界初

[ 2017年12月30日 05:30 ]

08年1月、バリエンテ郡山の総監督に就任したジョージ・ウェア氏(左)
Photo By 共同

 西アフリカ・リベリア出身で世界的に活躍した元サッカー選手のジョージ・ウェア氏(51)が28日、野党候補として出馬した同国の大統領選で勝利を確実にした。26日の決選投票で選挙管理委員会が開票率98・1%での得票率を発表し、第1回投票でもトップだったウェア氏が61・5%を獲得した。英BBCなどによると、元プロサッカー選手が一国の元首となるのは世界で初めて。

 大統領選は、ノーベル平和賞受賞者エレン・サーリーフ大統領(79)の任期満了に伴い実施。ウェア氏は貧困解消などを訴え、若者中心に支持を集めた。与党のジョセフ・ボアカイ副大統領(73)の得票率は38・5%だった。内戦など政情不安が続いたリベリアで、民主的な政権交代は70年以上ぶりとなる。

 同国で生まれ育ったウェア氏は1988年にフランスリーグのモナコで欧州デビューし才能を開花。パリ・サンジェルマン(SG)とACミランでプレーした95年には、バロンドール(当時欧州最優秀選手賞)とFIFA最優秀選手賞をともにアフリカ人選手として初めて受賞した。驚異的な身体能力から数々の名プレーを生み出し「リベリアの怪人」と称された。

 2003年に引退した後はジョージ・ウェア基金を設立し、ユニセフ親善大使を務めるなど、貧困にあえぐ母国のために尽力。政治に関心を持ち、前々回の05年大統領選に出馬したが、アフリカ初の民選女性大統領として当選したサーリーフ氏に決選投票で惜敗した。対立候補側から学歴不足を指摘されると米国に渡って大学、大学院で勉強。政治家としての見識を身に付けた。

 11年の大統領選では敗れた候補の副大統領候補となり、14年の上院議員選挙で当選。満を持しての再挑戦で悲願を果たした。ACミランなど名門クラブを優勝に導いたストライカーは、今後は最貧国の指導者として手腕を振るっていく。

 ◆ジョージ・ウェア 1966年10月1日生まれ。リベリアの首都モンロビア出身。13人きょうだいで祖母に育てられた。国内やカメルーンのクラブで活躍し、88年にフランスリーグのモナコに入団。92年に移籍したパリSGで94〜95年シーズンに欧州チャンピオンズリーグ得点王となりFIFA、欧州、アフリカ最優秀選手を受賞。その後ACミランなどで活躍した。現役時1メートル85、82キロ。08年には福島県内のクラブで総監督就任のため来日。

 ▽リベリア 西アフリカに位置し、米から解放された奴隷グループが1847年に建国。アフリカで2番目に古い国。面積は日本の約3分の1、人口約461万人。首都はモンロビア。主要産業は鉄鉱石、天然ゴムなど。国民1人当たりの年間所得額は日本円で約4万1000円で、最貧国の一つ。1989年以降、断続的に内戦が続き約27万人の死者、約79万人の難民・避難民が出たと言われる。2014年以降、隣国ギニアでエボラ出血熱が流行・拡大し、甚大な被害を受けた。

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