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切なすぎるJクラブ「個の育成」の低評価、生かしたい欧州組の知見

[ 2017年4月15日 10:00 ]

サッカースクールを開校し小学生相手に座学の授業を行う長谷部
Photo By スポニチ

 分かってはいたが、こうもはっきり数字に表れると切なくなる。Jリーグは今月上旬にサッカーの育成コンサルティングを手がけるダブルパス社(ベルギー)によるクラブ育成組織格付けシステム「フットパス」の評価数値を発表。J1、J2計40クラブの平均値で「個の育成」の項目が最も低く、欧州トップレベルを100点とした場合、25点だった。クラブごとの詳細な数値は公開されていないが、何らかの手を打たなければ、今後も世界との差を縮めるのは難しいだろう。

 Jクラブ下部組織の整備、指導者ライセンスの制度化に伴い、近年は各チームの練習内容が似て、選手の金太郎飴化が加速している感は否めない。“没個性”からの脱却に向けて、近年、欧州組が次々と開校しているサッカー教室に注目している。長谷部(フランクフルト)は11日に故郷・藤枝市で「MAKOTO HASEBE SPORTS CLUB」をスタート。スクール前後の時間帯に講師を用意して学習の場を提供したり、長谷部自身が与えるテーマについて考える機会をつくるなど“座学”に重点を置くのが特徴だ。背景には「長くプロで活躍する選手は考える力が優れている」との分析があり、ミリオンセラー「心を整える」の著者らしい発想。常に考える習慣をつけることは「個の育成」のベースとなるに違いない。

 岡崎(レスター)の「マイスターサッカースクール」のテーマは「自分の武器を極める」。こちらも“一生ダイビングヘッド”を座右の銘に泥臭く成長を続けたストライカーらしい。このような独自色を他の選手も出すようになれば育成法も多様化するはずだ。例えば長友(インテル・ミラノ)は、体幹やヨガをトレーニングに積極的に取り入れており、体が動く仕組みに関する知識は豊富。横浜市に開校している「長友佑都フットボールアカデミー」を柔軟性や関節可動域の広さを高めることに特化したスクールにすれば、規格外の身体能力を持つ選手が育つかもしれない。

 世界を知る欧州組は日本サッカー界の財産。現役引退後も指導者やアカデミーダイレクターのような立場で現場に関わり、経験や知識を次世代に還元する好循環が生まれれば「個の育成」も新たなステージを迎えられる。世界中を旅して日本の良さを再確認し、日本酒や陶芸など日本文化を世界に発信する活動も、もちろん素晴らしい、と思ってはいるが。(木本 新也)

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