×

鹿島・権純泰 韓国“全冠”32歳GK 安定より挑戦を選択

[ 2017年2月15日 10:30 ]

鹿島に加入した権純泰
Photo By スポニチ

 家族も代理人もファンも、耳を疑った。そして皆、聞いたという。

 「なぜ全てを失う可能性があるのに行くの?」

 GK権純泰(クォン・スンテ)は、昨季まで韓国の強豪・全北で不動の正守護神だった。14年から3季連続でKリーグのベストイレブンに選出。在籍中はKリーグで3度の優勝を味わい、昨季はACL制覇も経験した。年は32歳。若くはない。全北とは今季の契約も残っていた。残れば正GKの座は安泰だった。それでも完全移籍を選んだ。「全北で獲れるもの(タイトル)は全て獲った。ずっといることもできたけど安定を求めるのが嫌だった」から。妊娠中の愛妻を母国に残し、決断から約1週間後には鹿島の新体制会見でフラッシュを浴びていた。

 全北時代の愛称は元オランダ代表GKファンデルサールに掛けて「スンテルサール」。根っから明るい性格だ。寮ではGK小泉やFW鈴木らに付き合ってもらい、一日に1〜2時間を割いて日本語を猛勉強中。「鹿島のチーム、ピープル、みんな好きです」。当初は全く話せなかったが、加入から約2週間後には片言で会話できるまで成長した。もちろん実力も折り紙付き。安定したセーブ力、敏しょう性、フィードの正確性と三拍子そろっている。古川GKコーチも「総合的に見てレベルは凄く高い」と太鼓判を押す。

 心機一転。異国の地で、曽ケ端という絶対的な守護神が君臨し続けてきたクラブで、未知の道を歩みだした。この先には周囲をもっと驚かせる結果がきっと待っている。

 ◆権純泰(クォン・スンテ)1984年9月11日生まれ、韓国坡州市出身の32歳。06年に全北入りし、11、12年の尚州尚武移籍を経て13年に全北に復帰。Kリーグ通算220試合出場。国際Aマッチ2試合出場。1メートル84、85キロ。利き足は右。既婚。

続きを表示

2017年2月15日のニュース