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広島 野津田&浅野弾でベテラン軍団蹴散らす 19歳コンビで1冠

[ 2014年2月23日 05:30 ]

<広島・横浜>前半6分、広島・野津田(中央)はゴールを決め大喜び

 若き力で、まず1冠だ。Jリーグ開幕を告げる富士ゼロックススーパー杯が22日、東京・国立競技場であり、昨季リーグ王者の広島が、MF野津田岳人(19)とFW浅野拓磨(19)のゴールで、天皇杯覇者の横浜を2―0で下した。天皇杯決勝も含めて昨季は3度敗れた宿敵にリベンジを果たし、3連覇に挑む3月1日からのリーグ戦に弾みをつけた。

 ソチ五輪に負けじとリオ五輪世代が新風を送り込んだ。まずは前半6分だ。状態が万全でない司令塔の高萩に代わり先発起用された野津田が、MF石原のクロスを左足で合わせて先制。「流し込むだけだった。点を取れて、チームが勝てて良かった」と価値ある一撃に笑顔をはじけさせていた。後半21分には、途中出場でトップ下に入った浅野だ。スピードでDFラインの裏へと抜け出すと、野津田からのパスを鮮やかに蹴り込んでプロ初ゴール。「素晴らしい舞台で決められてうれしい」。2年目の19歳コンビが大きな仕事をやってのけ、勝利を決定づけた。

 年齢も同じライバル同士、切磋琢磨(せっさたくま)してきた結果だった。昨年5月に野津田が初ゴールを決めた際には浅野が「正直、悔しい」と話し、この日の浅野のゴールには、逆に野津田が「うれしいけど、少し悔しい」と対抗心をのぞかせて笑った。それでもプライベートでは仲が良く、お互いを認め合う関係。野津田が「拓磨が走ってくれるので必ず見るようにしている」と信頼を口にすれば、浅野も「岳人から絶対に来ると信じて裏に抜けた」とキッパリ。16年リオ五輪での活躍にも期待がかかる“10代ホットライン”が開通した瞬間だった。

 リベンジでもあった。昨季2冠を懸けた元日の天皇杯決勝で横浜に0―2の完敗。2人は後半33分から出場したものの効果的な働きができず、終了後にはFW佐藤から「前を向け」と諭されるほど落ち込んだ。屈辱の敗戦から2カ月。野津田は「天皇杯は何もできなかった。借りを返したいと思っていた」と同スコアでの“お返し”に胸を張った。悔し涙を流した浅野も「元日に負けた瞬間から絶対にレギュラーを獲ると誓った」と敗戦を糧にした。

 “鉄板”とされてきたレギュラー陣を脅かす次世代選手の競演で手にしたゼロックス連覇。リーグ3連覇を狙う広島の14年シーズンは、これ以上ない形で幕を開けた。

 ◆データ1 連覇◆広島がゼロックス杯連覇。これで09年からリーグ戦王者が6年連続勝利となった。広島は今回が3度目の出場で全て勝利、一方の横浜は4度目の出場で全て敗戦と対照的な成績だ。

 ◆データ2 10代ゴール◆広島の19歳コンビMF野津田、FW浅野がゴールを決めた。ゼロックス杯での10代ゴールは史上3、4人目。最年少は96年の福田健二(名古屋=18歳140日)。2番目が19歳104日の浅野、3番目が19歳261日の野津田。4番目が97年の柳沢敦(鹿島=19歳313日)。

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2014年2月23日のニュース