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澤 劇的V3締め!退任の監督へ最高のプレゼント

[ 2012年12月25日 06:00 ]

<INAC神戸・千葉>喜びを爆発させる澤(中央)らINAC神戸イレブン

皇后杯決勝 INAC神戸1-0千葉

(12月24日 NACK)
 澤サンタがV3を届けた。INAC神戸は豊富な運動量の千葉に食い下がられたが、後半ロスタイムにMF澤穂希(34)の右クロスから最後はDF田中明日菜(24)がゴールを決め、1―0で勝利。3大会連続3度目の優勝を飾り、なでしこリーグとの2冠を達成した。今季限りで退任する星川敬監督(36)へ最高のプレゼントを贈った。

 澤が勝負を懸けた。スコアレスのまま迎えた後半ロスタイム。中島が左CKを蹴る直前、鬼気迫る表情で田中明に声をかけた。

 「ラストワンチャンスだよ。ここ、絶対入れよう」

 CKはディフェンスにクリアされたが、ゴール右サイドにいた澤の前に転がってきた。右足でゴール前の密集に蹴り込むと高瀬を経て最後は狙い通り田中明の元へ。次の瞬間、揺れるネットが澤の目に映った。

 「ここで決めないといけないと思った。90分、何が起きるか分からないですから」

 直後に鳴った試合終了のホイッスル。リーグ戦では2試合とも完勝(3―1、7―2)していた千葉相手に苦しんだ分、3連覇の喜びはひとしおだった。

 波乱の一年を最高の形で締めくくった。2月のスペイン遠征で右ふくらはぎを肉離れ。3月には良性発作性頭位めまい症を発症した。一時は遠ざかった五輪に意地で間に合わせると、チームに戻った後半戦は万全ではなかった前半戦の遅れを取り戻すかのように勝利に貢献した。リーグ戦を制して迎えた皇后杯。3連覇を目前に全身の疲労で別メニューを余儀なくされたが、執念でたぐり寄せた。

 退任する星川監督、22日の準決勝・浦和戦で右膝を負傷して決勝のピッチに立てなかった近賀、来季は海外でのプレーを希望している大野…。「星川さんもそうだし、最後に同じピッチに立てなかった仲間もそう。寂しい気持ちもあるけれど、いいクリスマスプレゼントになったかな」。去来した寂しさを認めつつ、涙は見せなかった。

 来季については明言しなかったが、INAC神戸からは大幅な年俸アップを提示されており、残留の方向で話を進めている。試合を観戦したなでしこジャパンの佐々木監督からも「運動量も落ちていないし、全然できる」と一足早く“代表手形”をもらった。激動の一年の疲れを取り除いた後、澤は再び走り始める。

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