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好機量産!俊輔はやっぱり別格だった

[ 2008年5月28日 06:00 ]

<日本・パラグアイ>前半17分、闘莉王にピンポイントクロスを上げる中村

 日本代表は27日、埼玉スタジアムでパラグアイ代表と対戦し、MF中村俊輔(29=セルティック)が待望の岡田ジャパンデビューを果たした。左太腿裏に故障を抱えながらもフル出場。攻守に存在感を見せ、絶対に負けられない6月2日のW杯3次予選、オマーン戦に弾みをつけた。試合は0―0で終わり、日本代表はキリン杯で2年連続9回目の優勝、岡田ジャパンとしては初のタイトルを手にした。

【パラグアイ戦詳細


 左足の付け根に不安を抱えていても、俊輔は俊輔だった。岡田ジャパンのデビュー戦。サポーターのひと際大きい声援を受けてピッチに立つと、決定力不足の代表にあって1人、異彩を放った。

 「コンセプトをまずしっかりやって、その後で個人の技術とか発想を出そうと思っていた」

 日本代表のピッチはオシム前監督時代の07年9月11日のスイス戦以来、259日ぶり。それでも2列目の右でプレーすると、存在感を存分に見せつけた。前半5分に中央からいきなり左足ミドルを放つと、前半17分には中村憲、遠藤の3人で左サイドを崩し、闘莉王にピンポイントクロス。シュートは惜しくも相手GKに阻まれたが、日本のチャンスはほとんど中村の左足を経由した。

 代表への熱い思いが万全ではない体をもピッチへと駆り立てた。18日の紅白戦で負傷。3連覇を達成した22日のダンディーU戦に強行出場し、すぐ帰国して日本代表に合流。試合前日の26日に埼玉県内の病院で検査を受け、初めての個所となる左足付け根の炎症が判明したが、6月2日のオマーン戦を目前に控え、連係を合わせるためにもピッチに立ちたかった。

 日本代表の試合は映像で取り寄せてチェック。プレミアリーグ、欧州チャンピオンズリーグ、UEFA杯などグラスゴーの自宅には約200本ものDVDがある。3月4日に行われた欧州CLのバルセロナ戦では、あこがれだったカンプ・ノウでプレーしたが、技量の差、チーム力の差を見せつけられた。それでも壊れかけた心を立て直し、セルティックの3連覇に貢献。輝きを取り戻し、岡田ジャパンを救うべく再び日本に帰ってきた。

 オマーン戦を見据えてのプレーだった。岡田ジャパンは今回が初招集。絶対負けられない試合に向け、時間はあまりない。試合前も後にも選手と積極的に対話し、連係の向上を図った。終わってみれば90分フル出場。「ベンチの選手も僕がどういうプレーするか分かっただろうし、連係を深める上でも、いい90分間だった」と充実した表情をのぞかせた。

 一方で、苦言を呈することも忘れなかった。中村が「前半はまああまあ良かったけど、後半は個人だけでいく場面もあった」と振り返った通り、連係面で合わずにボールを奪われ、相手に速攻を許す場面も見られた。中村は「ハーフウェーでトップスピードに乗る必要はない。後半は相手の守備に突っかかりすぎた。もっとパスを回した方がいい場面もある。それを直せば、もっとうまくボールが回る」と話した。

 注目のオマーン戦は6月2日。「相手が嫌がるプレーをしないといけない。勝つために何が必要か。意識してやらないと」。勝利への方程式はもう頭の中に描かれている。窮地に立たされた岡田ジャパンを救えるのは、日本のファンタジスタだけだ。

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2008年5月28日のニュース