【記者が選ぶ福永祐一ベストレース(2)】勝利騎手らしからぬ「失敗したー」

05年オークスをシーザリオで制した福永祐一（手前）
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　冒頭に「失敗したー」と勝利騎手が顔をしかめる会見も珍しい。05年オークスの勝利騎手会見での福永だ。居合わせた記者も面食らった。上がり3F33秒3を引き出したシーザリオの騎乗について失敗？

　見事な末脚でした、という問いかけに「逃げてもいいと思っていた」と返す。不機嫌ではない。福永は淡々と説明した。スタート直後のポジション争いで、隣枠だったエアメサイア武豊の術中にはまり、後方に追いやられたと言う。「豊さんにやられた」「直線勝負しかなかった」「自分はいい仕事はしていない」「馬が強かった」。勝利騎手らしからぬコメントばかりながら、繰り返すが不機嫌ではない。騎手同士の駆け引きでしてやられた悔しさはあるが、勝った関係者の喜びに水を差したくない。プライドと気遣いが、会見中の微苦笑からにじんでいたように思う。