ドバイで示したクラウンプライドの強さ

[ 2022年4月1日 05:30 ]

UAEダービーを制したクラウンプライド(ロイター)

 【競馬人生劇場・平松さとし】ご存じの通り先週末、ドバイ・メイダン競馬場で行われたドバイワールドカップデーで日本馬が二つのG1を含む重賞を5勝。レベルの高さを改めて世界に知らしめた。

 中でも強い勝ち方をしたのがUAEダービー(G2)を制したクラウンプライドだ。日本ではデビューから新馬、もちの木賞を連勝。ヒヤシンスSでは6着に敗れたが、管理する新谷功一調教師は言う。

 「出遅れが全てで力負けではありませんでした。ただ、負けた事によってドバイへの道が絶たれたかと思ったのですが、選出されて良かったです」

 かの地では毎朝、松田全史調教助手がまたがった。同助手は角居勝彦厩舎時代、同じくドバイへ飛んだヴィクトワールピサの調教をつけた経験があった。同馬は見事にドバイワールドC(G1)を優勝。今回は45歳の若き指揮官から任されてそれ以来のドバイ入りだった。

 「11年前はドバイで最も大きいレースであるドバイワールドカップを勝たせてもらいました。そういう意味で、ドバイで他のレースを落とすわけにはいかないという気持ちで臨みました」

 結果「本当に良い状態に仕上げてくれました」と新谷師。松田助手から相談されたのは「レース当日の蹄鉄はどうしますか?」という事くらいで、状態面に関しては何一つ言われなかったと言い、さらに続けた。

 「それがつまり良い状態に仕上がっているという証拠でした。何も不安がないから相談するような事もなかったのです」

 また、レースについては次のように語る。

 「最初のコーナーの入りでレーン騎手が引かなかったのが良かったです。おかげで向こう正面では好位をキープできました。4コーナーで前と少し離れた時は“大丈夫かな?”と思ったけど、直線でエンジンがかかってからは良い伸びでした。日本では周囲に先輩調教師がおられるので静かに見るようにしていますが、ドバイでは思う存分、声を出して応援させてもらいました」

 こうして開業3年目の重賞初制覇を見事、海の向こうで成し遂げた。

 さて、そんなクラウンプライドは帰国せず、そのまま現在はアメリカに渡っている。5月7日、チャーチルダウンズ競馬場で行われるケンタッキーダービー(G1)にはクリストフ・ルメール騎手を乗せて挑む予定だ。今度はアメリカで、新谷調教師の叫ぶ声が聞ける事を願いたい。(フリーライター)

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2022年4月1日のニュース