遠藤エミSG制覇 女子初登録から70年…隆盛の礎築いた“女の行動力”体現した訓練生時代の劣等生

[ 2022年3月21日 21:36 ]

大村優勝戦1周2マークでの遠藤エミのターン
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 ボートレース発祥の地で、今年最初のSGで歴史の扉が開いた!ボートレース大村のSG「第57回ボートレースクラシック」の優勝戦が21日、第12Rで行われた。1号艇の遠藤エミ(34=滋賀)が逃げ快勝。女子レーサーとして史上初のSG優勝を成し遂げた。1952年に初の女子選手が登録されてから70年。寺田千恵、横西奏恵に続き女子選手史上3人目(通算4度目)となるSG優出を決めた遠藤が、見事に重圧をはねのけボートレースの歴史に新たな一ページを刻んだ。元ボートレーサーの梁島記者が、今回の歴史的な偉業と女子レーサーたちの挑戦の歴史を解説する。

 記者がボートレーサーとしてデビューしたのは86年11月。当時、男女の技術の差は明確でした。6~8人の女子レーサーが加わる男女混合の一般戦で稼ぐことは難しく、救済レースの意味も兼ねてオール女子戦が行われていました。

 激しい進入の駆け引きに屈し、ターンではスピードの違い、調整面に至っても男子とのレベル差を日々、痛感していました。当時、コース取りから男子選手に真っ向勝負を挑めた女子レーサーは20年に引退した鵜飼菜穂子さんを筆頭に、ほんの一握りだったと記憶しています。

 なぜ、女子レーサーがここまでレベルを上げ、売り上げを伸ばし現在の地位を確立したのか。要因の一つとして考えられるのはトップレーサーから発信されるトレーニング方法や精神道を多くの女子レーサーが積極的に取り入れてきたことではないだろうか。つまり“行動力”のたまものと分析しています。

 遠藤は訓練生時代はどちらかといえば勝率の低い劣等生。デビュー当時も特に目立つことはなかった。地元の記者から練習量は半端ではなかったと聞いています。日々の努力ではい上がり、女子のトップ、そしてボート界の頂点にまでたどり着いた一人の女子レーサー。この歴史的瞬間は決してゴールではなく、女子プロスポーツ全体が新しい時代に突入したのだと捉えている。

 ◇遠藤 エミ(えんどう・えみ)1988年(昭63)2月19日生まれ。滋賀支部所属の34歳。102期生として2008年5月にびわこでデビュー。09年12月にまるがめで初優出。12年11月に鳴門で初優勝。17年12月クイーンズクライマックスでG1初優勝。通算129優出37V。主な同期は上野真之介、前田将太らがいる。身長1メートル55、44キロ。血液型A。

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