【秋華賞】デアリングタクトよ「無事に走って」 “ちゃんこい”牧場にデッカイ夢を

[ 2020年10月17日 05:30 ]

無敗で挑むデアリング 3冠へのタクト(5)

デアリングタクト生産の長谷川文雄さん(前列右から3番目)(日高町提供)
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 方言が心地いい。小さいを意味する「ちゃんこい」という言葉が2回出てくる。生産者の長谷川牧場主・長谷川文雄さん(69)に牧場時の印象を聞いた。

 「生まれた時はちゃんこいんだ。それでも機敏だったな。少しずつ手をかけて、ケガをしないように気をつけて育てていきました」

 決して大きな牧場ではない。JRAの成績を見ても17、18年は勝利なし。昨年と今年で合わせて5勝。そのうちの4勝がデアリングタクトによるもの。10年小倉大賞典勝ちオースミスパーク、93年マイルCS2着イイデザオウを送り出した実績があるが、G1勝ちは初めて。「信じられない思い」としつつ、言葉を継いだ。

 「特別でも勝てば大喜びするくらいのちゃんこい牧場がG1を2つ勝つなんてな。若い頃は肩肘を張って力を入れてやってきた。でも、年齢を重ねて少し馬任せでやるようになった。そうしたら、チャンスが来たんだ」

 ノーザンファームなど大手が席巻するG1戦線の中、日高の小さな牧場にスポットライトが当たった。「例えば下請けなどの小さいところでも、ちょっとしたことで芽が出るかもしれない。チャンスってあるもんだ」と前を向いた。

 続く夢を追っている。1歳下の全妹マオノジーナスは新馬戦で3着。1歳もエピファネイア産駒の牝馬で、当歳はドレフォン産駒の牝馬。「オークスの日に生まれたんですよ。これも賢くて、いい馬だよ」と声が弾んだ。

 さあ、無敗3冠へ。歴史の扉をこじ開ける時が来た。「コロナのこともあるので、今回もテレビで応援することになりますね」。その上で、メッセージを送ってくれた。「調教師や騎手、厩舎スタッフの皆さんは本番へ向けて大変な思いがあるだろうと。とにかく無事に走ってくれればと思います」。ちゃんこい牧場にデッカイ夢を。北海道から熱いエールを送る。

 ◆長谷川 文雄(はせがわ・ふみお)1950年(昭25)11月23日生まれの69歳。長谷川牧場は北海道日高町で48年に創設。70年以上の歴史を持つ牧場の場主。「昭和、平成、令和とよく生き残って、やってこられたと思う」。創業当初はアラブ競走馬の生産がメインだったが、サラブレッドへと転換。

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2020年10月17日のニュース