【ヴィクトリアM】アーモンド 歴代最多タイ7冠!衝撃のノーステッキ4馬身差V

[ 2020年5月18日 05:30 ]

<ヴィクトリアマイル>鞍上のルメールが直線で何度も振り返る余裕を見せながらレースを制したアーモンドアイ(右から2頭目)
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 人々の心に明るさをともす圧勝劇だ。春の女王決定戦「第15回ヴィクトリアマイル」が17日、東京競馬場で行われ、単勝1・4倍の圧倒的1番人気に支持されたアーモンドアイがC・ルメール(40)の手綱で衝撃的な4馬身差圧勝を決めた。海外を含めた芝G1・7勝はディープインパクトなどの名馬と肩を並べて歴代トップ。次走で新記録達成の期待がかかる。獲得賞金は14億円に乗せ、歴代7位となった。 レース結果

 圧勝の直後、馬上でルメールは無人のスタンドに向け左腕を上げた。アーモンドアイは元気です。日本は元気です。競馬場に来られないファンへの感謝。そして競馬が中止となっている海外に向け、絶対女王の強さを拳で伝えた。「アーモンドアイに乗る日はいつも特別な日。プレッシャーがある。今日、彼女はレジェンドホースだった。テレビの前の皆さんにも喜びを伝えられた」

 抜群のスタートで好位4番手へ。大外から切り込んだサウンドキアラをマークする位置で運んだ。「いいポジション。ずっと自分のリズムだった」。直線半ばでサウンドキアラに馬体を併せると馬なりのまま重賞3連勝馬を置き去りにした。前にいるのは逃げたトロワゼトワルだけ。並びかけた瞬間、グンと弾むように手前(軸脚)をチェンジした。最強馬が自ら出したゴーサイン。ノーステッキ、最後は緩めたのにラスト3Fは衝撃の32秒9。鞍上が何度も振り返って確認する。後続は4馬身も離れていた。

 勝ちタイムは昨年のレコードに0秒1差と迫る1分30秒6。「直線はパワフル。めちゃくちゃ強かったし余裕があった。大人になったと感じた」。ゴール前でも手前を再度、替えている。まだ余裕があるのだ。過去にはレース後に熱中症のような症状を見せたこともあった。「暑さは少し心配していた」と明かした国枝師は「走った後は今までより楽な感じ。尻っぱねをするくらい元気があった。それだけしっかりしてきたということかな」。有馬記念での惨敗を糧に日本の至宝はたくましさを増していた。

 これで歴代最多タイの芝G1・7勝(19年ドバイターフ含む)。英雄ディープインパクト、女傑ウオッカなどに並んだ。14億663万3900円の総獲得賞金でもディープに次ぐ7位に浮上。国枝師は「数々の名馬たちが築き上げた記録に並べたのは本当にうれしい。最近はいろいろあって運がなかったからね。ホッとしている」。

 決して順風満帆ではなかった。3月、ドバイターフ出走のために人馬ともに現地入りまでしたが新型コロナウイルスの影響でレースは中止。加えて東西の移動制限でルメールが追い切りにまたがれない。それでもスタッフ一丸で状態を整えた。ルメールは「追い切りに乗ってくれたコウセイ(三浦)、ありがとう。国枝厩舎のみんなもいい仕事をしてくれた」と感謝した。

 師は気になる次走について「馬の様子を見てから」と言及を避けた。だが、ルメールは「安田記念(6月7日、東京)を勝ちたい。昨年負けている(3着)し、アーモンドアイが日本で一番強い馬だから」。あらゆるうっぷんを蹴散らした世紀の圧勝劇。女王の強さが魔法のように人々の心を明るくともした。

 ◇アーモンドアイ 父ロードカナロア 母フサイチパンドラ(母の父サンデーサイレンス)牝5歳 美浦・国枝厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績12戦9勝(うち海外1戦1勝) 総獲得賞金14億663万3900円(うち海外3億9570万900円)。

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