【弥生賞】往年の名騎手も絶賛する武豊の適応力

[ 2020年3月6日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】1週間前の当コラム。“サウジアラビアで騎乗する武豊騎手のマテラスカイとフルフラットに期待!!”と記したが実際、またも日本のNo・1ジョッキーはやってくれた。マテラスカイでは逃げに逃げ、最後につかまったものの3着以下には影も踏ませないまま2着を確保。そしてフルフラットでは早め先頭から悠々と押し切って見事、サウジアラビアでの日本人騎手初勝利を収めてみせた。

 2頭はいずれも栗東・森秀行調教師の管理馬。古くはシーキングザパールやアグネスワールドで若き日の天才騎手を乗せ、世界のビッグレースを制した間柄だ。「常にトライしようという気持ちの森調教師の馬で勝てたことがうれしいです」。そう語る武豊騎手自身もそんな精神を持ち続けているジョッキーだ。だからこその偉業達成だろう。

 サウジアラビアで騎乗するのは彼にとっても初めて。レース3日前には調教でマテラスカイに騎乗し、フルフラットとの併せ馬。自らまたがった馬の仕上がり具合を確かめつつ、併せた相手のフットワークにも目を凝らして状態を推測。さらに自身にとっても初めてとなる、かの地のダートの感触も頭に入れた。

 また、前日には騎手招待競走4レースに騎乗。他のレースも観察しつつ「前が止まりにくいダート」と判断。レースでは少々早めでもスパートをかけていこうと決心し、2頭の好走に導いた。

 ちなみにこのサウジアラビア開催ではM・スミス騎手、F・デットーリ騎手、O・ペリエ騎手といった大ベテランが勝利を挙げており、その後の武豊騎手の好騎乗だったのだから、応援する身としても晴れ晴れしくもうれしい気持ちになったものだ。また、その様を見ていた往年の名騎手クリス・マッキャロン氏は「ユタカがNo・1」と指を立て「私の尊敬するジョッキーです」と笑顔で語ってくれたことも記しておこう。

 さて、今週は中山でディープインパクト記念と称された弥生賞が行われ、ディープインパクト産駒のサトノフラッグに騎乗する予定だ。無観客競馬なのは残念だが、世界を魅了する手綱さばきを今度は日本で披露してくれることを期待したい。(フリーライター)

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2020年3月6日のニュース