“無欲”のシュヴァル英国でも輝く

[ 2019年7月26日 05:30 ]

 【競馬人生劇場・平松さとし】現地27日の土曜日、英国アスコット競馬場で行われるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)に日本のシュヴァルグラン(牡7=友道)が出走する。

 同馬のオーナーはご存知、佐々木主浩氏。「大魔神」の愛称で日本のプロ野球だけでなくメジャーリーグでも大活躍した元ベースボールプレーヤー。「今は野球より競馬」と冗談とも本気ともつかない表情で語る彼がシュヴァルグランを手に入れたのは、その母親ハルーワスウィートの活躍を見ていたから。

 「馬は尻尾でバランスを取って走ると聞いていたのにハルーワスウィートはその尻尾がない馬でした。それであれだけ走る(現役時代5勝)なら相当の能力があると思ったのです」

 それで08年生まれの産駒を競り落とした。ファルスターと名付けたその馬は条件馬で終わったが、1つ下の牝馬を再度、入手したところに佐々木氏の運というか、見る目があった。その牝馬こそG1を2勝したヴィルシーナで、以降、この弟や妹を買い続けた。

 すると妹のヴィブロスが16年に秋華賞、17年にドバイターフを優勝した。しかし、同年のエリザベス女王杯では1番人気に推されながらも5着に敗れる。そして、その2週間後のジャパンCに出走したのが当時まだG1を勝っていなかった兄のシュヴァルグランだった。

 「今度は5番人気だったので楽な気持ちで見られました。恐らく騎手の心理もこういう感じなのかな?と思いました」

 その心境は的を射ていた。シュヴァルグランはキタサンブラックやレイデオロら強豪を相手にアッと言わせる。見事に自身初のG1制覇を飾ってみせたのだ。

 その後の同馬はなかなか勝てずにいるが有馬記念で2年連続3着や前走のドバイシーマクラシックでも2着など、国内外のG1戦線で善戦を続けている。キングジョージは休み明けの馬がまず勝てないレースではあるが、強敵エネイブルがいる分、気楽に臨めれば再びアッと言わせる場面があっておかしくないだろう。(フリーライター)

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2019年7月26日のニュース