坂口正師、エイシンと共に 90年に初G1もエイシン

[ 2019年1月30日 05:30 ]

坂口正則調教師
Photo By 提供写真

 感情を表に出すことなく、常に闘志を内に秘めてきた。坂口正師は静かなるファイターだった。

 初のG1制覇は90年オークス。5番人気エイシンサニーで、5戦無敗の桜花賞馬アグネスフローラをばっさりと差し切った。「しっかり覚えている。デビューした頃は400キロもない小柄な馬だった。それがオークスを勝つんだから…。しかもレコード(2分26秒1)で」。あれから29年が経過したが記憶は鮮明だ。

 97年高松宮杯(G1)2着など重賞4勝を挙げたエイシンバーリンも思い出深い。「同じ逃げ馬だがエイシンヒカリとは全く違うタイプ。おとなしい馬だった。当時のレコードを更新して重賞もいっぱい勝ってくれた。G1を勝てなかったのは悔しかったが本当にいい馬だった」。15年香港カップ、16年イスパーン賞と海外G1を2勝したエイシンヒカリで世界に名を売った師だが、思い出すのは苦労も多かった90年代の馬ばかりだ。

 締めくくりも“エイシン”。2月16日の京都牝馬Sにエイシンティンクルが挑む予定だ。「何とか勝ってほしいね」。赤と黒の勝負服とともに競馬人生を駆け抜けた。思いは長男の智康師(37)が引き継いでいく。

 ◆坂口 正則(さかぐち・まさのり)1948年(昭23)9月2日生まれ、宮崎県出身の70歳。叔父の坂口正二師に誘われ、67年同厩舎見習い騎手。騎手時代は525戦44勝。調教助手を経て83年調教師免許取得。85年7月13日、小倉競馬のコスモフィールド(3着)で初出走。同年7月28日、小倉競馬の同馬(延べ3頭目)で初勝利。JRA通算8365戦678勝。同重賞27勝。

続きを表示

2019年1月30日のニュース