【フローラS】ビッシュ3連勝へ跳ねる!“樫の霊木”に導く「鹿伝説」

[ 2016年4月19日 05:30 ]

オークスへ向けて前進だ!!デビュー3連勝を狙うビッシュ

 東京の緑一色のターフに鹿が跳ぶ。東京競馬開幕週のメイン「第51回フローラS」(24日、3着までオークス優先出走権)で注目されるのがデビュー2連勝中のビッシュ。鹿にまつわる馬名を持つディープインパクト産駒の逸材が無敗V3でオークスへ前進する勢いだ。

【フローラS】

 屋久島と口永良部島に生息するヤクシカのような明るい赤褐色の体が、本州に分布するホンシュウジカのように高く跳ぶ。その体重は410キロ前後。国内で最も大柄なエゾシカ(平均140キロ)よりも当然大きいが、サラブレッドとしてはかなり小さい。フランス語で牝鹿の意味を持つビッシュ。「確かに小さいけど、フットワークがいいから体重以上に大きく見せるよね」。管理する鹿戸師はその鹿のような跳躍力に頼もしげな視線を注いだ。13年セレクトセール(当歳セリ)で7980万円の値が付いたディープインパクト産駒。牝鹿のイメージと預託する厩舎名を引っ掛けて命名したという。

 「体が細くて弱くて、なかなか入厩できなかった」(鹿戸師)という牝鹿は2月21日の遅いデビュー。ところが、ターフの上では小さい体をいっぱいに伸ばしてパワーと切れを発揮した。東京・新馬戦では中団から1頭だけ次元の違う末脚で5馬身突き抜ける圧勝。パワー勝負の重馬場で牡馬を一蹴した。続く中山の500万では3、4コーナーでモタつきながら直線の脚だけで半馬身差し切った。「凄いと思わせないのに気付いたら勝っていた」。主戦・横山典は鹿戸師にこう報告した。「褒めているのか、けなしているのか…よく分からないけど、ディープインパクト産駒らしくスパンと切れる。格好いい走りですよね」と同師は続けた。前走後はノーザンファーム天栄(福島県)で放牧し、14日に帰厩。「能力だけで2連勝できたが、筋肉が付いてくればもう一つ変われる」

 鹿の跳躍力には不思議な伝説がある。昔、空海が川の対岸に霊木を発見した。だが、流れが激しくて渡れない。そこに一頭の鹿が現れ、背中に乗せて岩を跳び、対岸へ渡してくれたという。樫の霊木に導く、競馬の「鹿跳」伝説。ここも突破すれば、層の厚い桜花賞組の待つ樫のタイトルが近づく。

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2016年4月19日のニュース