“幻のクラシック馬”フジキセキ死す…角田師「ありがとう」

[ 2015年12月29日 05:30 ]

94年、デビュー3戦目の朝日杯3歳Sを、コンビ角田と制したフジキセキ

 94年の朝日杯3歳S(現朝日杯FS)を制したフジキセキ(牡、父サンデーサイレンス)が28日に頸椎(けいつい)損傷のため、けい養先の社台スタリオンステーションで死んだ。23歳だった。デビュー4連勝で95年クラシックの大本命と目されたが、左前屈腱炎で皐月賞前に引退。その後に種牡馬入りし、9頭のG1馬を送り出す活躍を見せた。

 95年の“幻のクラシックホース”が死んだ。フジキセキはサンデーサイレンスの初年度産駒として、94年夏の新潟でデビュー。2着に1秒3差の衝撃的な勝利を飾り、続くもみじ賞はレコード勝ち。3戦目のG1朝日杯3歳S(朝日杯FS)も制し、クラシックの最有力候補にのし上がった。年明けの弥生賞も勝って無傷4連勝。だがこの直後に左前屈腱炎を発症、クラシック戦線の大本命が皐月賞を前にターフを去った。その年、早々に種牡馬入りした。

 そんな幻のスーパーホースとコンビを組んだ角田晃一現調教師は「昼に社台さんから電話がありました。残念です」と語った後、「本当に強い馬でした。僕も先生(渡辺栄師)も“この馬でクラシックを勝つ”と夢を見てましたから。(屈腱炎の電撃引退は)もうショックでショックで、本当に大ショックでした」と当時の悔しさがよみがえってきたかのように続けた。

 種牡馬としてはダート界で活躍したカネヒキリや高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキをはじめ、9頭のG1ホースを送り出す活躍を見せた。角田師は「最近は体調を崩して種付けをしてなかった(5年前の10年が最後)けど、父内国産種牡馬としてはトップクラスですからね。(死亡する)直前にロサギガンティアが(26日の阪神Cを)勝ちましたし。ありがとう、安らかに眠ってくださいって気持ちですね」と話した。

 社台スタリオンステーションの徳武英介さんは「サンデーサイレンスの初年度産駒として、大きな期待を懸けていた馬。クラシックには出走できませんでしたが、種牡馬としても国内外(5年間シャトル種牡馬として豪州で供用)で活躍馬を出し、サンデーサイレンス系を世界に広めた功労馬。冥福を祈りたいと思います」とコメントした。

 ◆フジキセキ 父サンデーサイレンス 母ミルレーサー(母の父ルファビュルー)1992年4月15日生まれ、牡23歳 現役時は栗東・渡辺栄厩舎所属、馬主・斉藤四方司氏 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 通算4戦4勝(重賞2勝、うちG1・1勝)

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2015年12月29日のニュース