【チャンピオンズC】三度目の正直!タルマエ、悲願の中央初G1

[ 2014年12月8日 05:30 ]

早め先頭からゴールへ突き進むホッコータルマエ

 今年から舞台を移し新たに“秋のダート王決定戦”としてスタートした「第15回チャンピオンズC」が7日、中京競馬場で行われた。2番人気のホッコータルマエが番手から持ち前の粘り強さを発揮。悲願のJRA・G1初制覇を果たすとともに、6つ目のG1タイトルを獲得した。鞍上の幸英明(38)は6年ぶり、管理する西浦勝一調教師(63)は8年ぶりのJRA・G1制覇となった。

【レース結果】

 豪華メンバーが集結した師走のJRAダート頂上決戦でG1・5勝馬が本領を発揮した。道中は2番手でピッタリ折り合ったホッコータルマエが絶好の手応えで4コーナーを回ってくる。最後の直線、410・7メートルは力と力がぶつかり合う激しい追い比べになった。ラスト1F、ピッタリ外につけていたローマンレジェンドを振り切ったところで、さらに外からもう1頭。ナムラビクターが勢い良く迫ってきた。それでも絶対に抜かせない。しびれるような攻防を制して半馬身差でゴールを駆け抜けた。

 検量室前ではオーナーや家族、西浦師、スタッフらの涙と歓喜の輪が広がる。引き揚げてきた幸が「ありがとうございました!」と笑顔でその輪に飛び込んだ。

 「直線が長くて…。最後は必死に追っていました。馬には余裕があったけど人間には余裕がありませんでした。去年負けて、この一年が長かったですね。雪辱できて良かったです」

 まだ3歳で古馬に挑んだ一昨年のこのレースが9番人気で3着、昨年は1番人気に応えることができず、またも3着。今年のフェブラリーS2着も含めてJRAダートG1には、どうしても手が届かなかった。三度目の正直でこのタイトルをモノにした。

 今年こそ。幸はその一心で手綱をとった。昨年11月27日、矢部幸一オーナーが死去。その週末に迎えたこのレースで勝利を届けることができなかった。厩舎サイドに対してもそう。自らを信頼して手綱を任せる西浦師、そして調教役の西浦助手、担当・相良助手ら、懸命に仕上げてきたスタッフの頑張りに応えたい。まさに恩返しの勝利になった。

 「西浦厩舎の馬に乗せていただくようになってから、先生が幸にG1を勝たせてやるんだ、とおっしゃっているのを周りの人から聞いたんです。だから負けられない気持ちでした。オーナーや先生に感謝の思いが込み上げてきました」

 レース後、西浦師は「感動しています。言葉にならないくらい」と感無量の面持ち。「最後の2Fビッシリ追われて、2着馬が来てもタレなかった。この馬の底力ですね」と称え「先代のオーナーの墓前に、いい報告ができます」と安どの表情を浮かべた。今後は昨年末から今春と同じく東京大賞典(29日、大井)、川崎記念(1月28日)、フェブラリーS(2月22日、東京)、ドバイWC(3月28日)を視野に入れる。「またドバイに選ばれるように頑張ります」と西浦師。チーム・タルマエのチャレンジはまだまだ続いていく。

 ◆ホッコータルマエ 父キングカメハメハ 母マダムチェロキー(母の父チェロキーラン)牡5歳 栗東・西浦厩舎所属 馬主・矢部道晃氏 生産者・北海道浦河町市川フアーム 戦績27戦13勝(地方10戦7勝、海外1戦0勝) 総獲得賞金7億3545万6000円。

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