【菊花賞】ブリランテ 圧巻のぶっちぎり!海外帰り不安なし

[ 2012年10月18日 06:00 ]

岩田を背にCWコースで追い切るディープブリランテは抜群の動き

 これがダービー馬だ!3冠最終戦「第73回菊花賞」(21日、京都)の追い切りが17日、栗東、美浦トレセンで行われ、今年のダービーを制したディープブリランテ(牡=矢作)がCWコースで併走馬をぶっちぎる圧巻の走りを披露。海外遠征帰りの不安を一掃し、2冠奪取への態勢を整えた。同レースは、18日、枠順が確定する。

【菊花賞】

 岩田を背にCWコースをポツンと駆け抜けるダービー馬。3コーナーの時点で、誰もがディープブリランテの追い切りは単走と判断した。しかし、違った。15馬身も前を行っていたロゼッタストーン(3歳500万)を猛然と追いかけ始めた。

 獲物に狙いを定めたタカのように、一気に急接近する。あっという間に差が縮まった。「併せ馬かっ!!」。騒然とする報道陣。4コーナーで捉えた。そして直線、並ぶ間もなく、後方へと置き去りだ。まるでワープしたかのような独走。7F96秒4、1F12秒2を軽々と叩き出し、8馬身先着した。

 「ブリランテが凄かったのか、相手がだらしなかったのか。(並んでから)もう少し相手に付いてきてほしかった」。矢作師は多少不満げだが、狙いは十分に達成している。「併せ馬は、ちぐはぐになりかけた時に自分のペースを保てるかが大事。それは保っていた」。1頭になっても集中力を持続したダービー馬。十分に合格点だ。

 岩田は満足げな表情だ。「素晴らしい。悠々と走っていた。道中も、追い出した時もハミは掛けず、気合も入れず、息だけをつくった」。気持ちを高めすぎることなく、肉体のみに負荷を掛けた。名手の狙い通りの追い切りだった。

 海外帰り、3カ月ぶりの実戦を不安視する声がある。だが、岩田は笑って否定した。「ぶっつけ本番でも完璧な状態で臨める。距離も持つと信じている。乗り方?それは企業秘密」。秋華賞で7センチ差の激戦を制し、ジェンティルドンナを牝馬3冠に導いたファイターには自信と、既に思い描く明確な作戦があるようだ。

 そして、こうも語った。「海外遠征で大きなものを得た。自信、そして挑戦する心。一から出直し、また世界へ行きたいんだ」。現3歳世代で、この馬だけがキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(8着)という、世界最高峰の舞台を経験した。これこそ無形の財産。長距離輸送を耐え抜き、欧州最強古馬からのプレッシャーを全身で受け止めた。人馬とも、たくましく成長した。その姿を大舞台で見てくれ。岩田はそう言いたいのだ。

 データ面で後押しする材料はない。だが、そんなことはどうでもいい。自信を胸に、ダービー馬らしい競馬をして勝つ。その一点に向かって、岩田もブリランテも集中力を研ぎ澄ましている。

 ≪39年ぶり“偉業”挑戦≫ダービーと菊花賞を制した馬は過去9頭いるが、うち7頭は3冠馬。過去20年を見ても、ミホノブルボン、ネオユニヴァース、メイショウサムソンといった2冠馬ですら、菊を勝てなかった。ダービー&菊花賞の2冠馬は43年クリフジ(牝馬でオークスもV)と73年タケホープだけ。ディープブリランテは39年ぶりの“偉業”に挑むことになる。

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2012年10月18日のニュース