【桜花賞】アプリコットフィズ“華ある”12秒7

[ 2010年4月8日 06:00 ]

横山典弘騎手を背に、2頭併せで追い切るアプリコットフィズ(手前)

 10年のクラシック第1弾「第70回桜花賞」の追い切りが7日、美浦、栗東トレセンで行われた。美浦ではクイーンCの覇者アプリコットフィズが横山典弘騎手(42)を背に軽快な脚さばきで僚馬に先着。仕上がりの良さを披露した。

 もう激しいアクションは必要なかった。横山典とアプリコットフィズは、大一番前の最後の感触を楽しむように、人馬一体でWコースを駆け抜けた。
 シャイニーカフェ(5歳500万)から2馬身先行。コースのかなり外を回しながら僚馬が迫るのを待った。直線で計算通りにパートナーが追いつく。相手は強めに追うが横山典の手は動かない。残り100メートル。馬が自ら闘志をかき立て、グッと前に出た。首差先着。ラスト1F12秒7。馬に余計な負担をかけず、それでいてファイトを引き出す理想的な最終調整だった。
 「先週追い切ったのが実質ラスト。けさ(7日)は、あくまで調整。横山典騎手には注文通りに乗ってもらい満足している」。小島太師は最高の笑みを浮かべた。当初はポリトラックコースで追う予定だったが、時計が速くなり過ぎることを懸念してWコースに直前変更。格の差がある僚馬相手に、あえて先行したのも自分のペースを守るため。あらゆる角度から考え抜き、指揮官はできるだけ柔らかく繊細に仕上げた。
 はやりの“栗東留学”を見送ったのも馬に合わせてのこと。小島良助手は「この馬は環境の変化に戸惑ってカイバ食いが落ちるタイプ。輸送自体は問題ない。だから直前に輸送すればカイバ量が減る日数が最小限で済む」と直前輸送を選択した理由を語った。さらに「栗東留学と言うと、栗東がどれだけ凄いんだという感じがする」と言い放った。桜花賞は美浦のプライドを懸けた戦いでもある。
 小島太師は愛馬のセールスポイントを次々と挙げた。「スピードがあるので自然に前に行くが、それでいてかなりの瞬発力を発揮する。ゴーサインを出せば必ず伸びる」。ライバルは?の質問にも「彼女が最高の力を出せば、おのずといいレースができる」とVを確信した様子だ。最後に「桜花賞は華やかなレース。ホースマンである以上1度は勝ってみたい」とポツリ。騎手時代は“サクラ”の勝負服がよく似合った小島太師。調教師として桜のお立ち台に立つ姿も似合うに違いない。

 ◆横山典と一問一答
 ――追い切りの感触から。
 横山典 順調だ。先週(2日)乗った時は普通キャンターだったから、乗って時計を出したのは今回が初めて。素直な馬で、走るイメージしかわかないね。
 ――依頼を受けた時の気持ちは。
 いい馬が回ってきたと思った。
 ――桜花賞のイメージを教えてほしい。
 関東馬にとっては輸送もあって酷なレース。ただ、この馬は精神的にしっかりしているので、そのあたりは心配しなくていい。
 ――好走を期待できそうだ。
 本当に順調に来ている。長距離輸送をクリアして、無事にゲートに入ってアプリコットフィズのレースができれば、いいレースになるんじゃないか。

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2010年4月8日のニュース