Sadie21周年を締めた6度の「愛してる」――Zepp新宿が揺れた狂熱の2時間、5人が魅せた「生きる力」

[ 2026年3月22日 18:30 ]

【画像・写真】Sadie21周年を締めた6度の「愛してる」――Zepp新宿が揺れた狂熱の2時間、5人が魅せた「生きる力」(Photo by Jun Tsuneda)
Photo By 提供写真

 ロックバンド「Sadie」が18日、結成21周年ライブ「BLACK FUNERAL」をZepp新宿で開催した。8年半の休止を経て再始動した5人による狂熱の祝祭。怒涛の2時間、全18曲の果てに、真緒が客席へ絞り出した6度の「愛してる」。過去の懐古ではなく、ファンと響かせた圧倒的な「生きる力」と、闘い続ける理由をその爆音で提示した。(ヴィジュアル系特集取材班)

 鼓膜を震わせる重低音と、フロアで激しく渦巻くロングヘアの波。家事や仕事、日常のあらゆる役割を今日だけは脱ぎ捨てて、今年もまた誰もが「Sadie家」に還ってきた。

 「黒い葬儀」という重厚なタイトルを冠した幕開けの1曲目『慟哭』から、真緒が圧倒的な声量で観客と対峙する。嵐の前の静けさは、続く「迷彩」で一気に弾けた。フロアに一斉にロングヘアが振り乱され、空気が激しく渦巻く。真緒とベースの亜季が背中を合わせて呼吸を確かめ合うように熱量を上げると、サビではギターの剣が鋭いコーラスを重ねて客席へ音を突き刺し、ギターの美月が激しさの中に艶やかな動きを織り交ぜて弦を弾く。

 間奏でふと演奏が止まる。フロアからの悲鳴のような歓声を5人が全身で受け止めきった直後、ドラムの景がバスドラムをドスドスと鳴らして再始動した。4人が肩を寄せ合ってフィニッシュを決め、ボルテージは初っ端から頂点へと達する。

 3曲目「心眼」で互いの熱量を確かめ合うようにぶつかり合い、続く「Jealousy」では爆音の中に刻まれるメロディアスなサビに合わせ、客席が体を激しく前後に折りたたむ。「オイ!オイ!」という地鳴りのような歓声の波は、バンドとファンが共に創り上げた歴史の証だ。

 中盤、その灼熱を一度冷ますように重厚な楽曲が並ぶ。円熟味を増した5人の確かな技に魅入られ、序盤と同じ会場でありながら、まるで別次元の空間に引きずり込まれたかのような錯覚に陥った。

 しかし、休む暇など与えられない。次第にアクセルを踏み込み再加速していく。10曲目「HOWLING」で導火線に火をつけると、11曲目「DEAD END」では剣がマントを翻し、真緒が「楽しんでるかー!」「全力でかかってこい!!」と絶叫。13曲目「Grieving the dead soul」で、ついに真緒が上着を脱ぎ捨てて完全なゾーンへと突入した。「生きてるかー!!」という魂の叫びが、Zeppの壁を震わせる。

 14曲目「サイコカルチャー」のイントロ。5人がステージ中央で輪になるように顔を合わせた。そして放たれた、地底から響くような真緒の雄叫び。それは再始動からのリバイバル期間を終え、新たな覚醒を告げる明確な号砲だった。

 本編ラストを飾る15曲目「陽炎」。「おまえたちの生きてる声、俺たちに届けてくれー!!!」という声に導かれるように、ステージ中央へ剣、美月、亜季が歩み寄る。その背中を、景が全体を見渡すように激しい鼓動を刻んで支えた。剣の情感あふれるギターソロ、左右にステップを刻む美月。客席から無数に伸びた手が、まるで揺らめく陽炎のように会場を包み込む。クライマックス、むき出しになった真緒の背中が照明に照らされ、幾千もの汗の粒がきらめいていた。

 熱気冷めやらぬアンコール。3曲を歌いきった真緒が、マイクを両手で握り、客席へ語りかけた。

 「こうやってまた5人で1つの周年を迎えられたことを、本当にありがたく思います。悲しませたり、少し不安にさせたことも、僕たちのこの活動の中ではありました。ただ、みんなこうやって待っていてくれて、そして俺たちのことをまた知ってくれて、新しい仲間ができて。またこの未来を一緒にきっと出会って、育んで歩んでくれる仲間が、きっとこの先にもいると思います。そして1つ1つの出会う中で、きっとお互いが生きる力となって、これからの未来を作っていくと思います」

 さっきまでの爆音が嘘のように静まりかえった会場。非日常の魔法が解けようとする客席に、真緒の言葉がまっすぐに降り注ぐ。

 「みんながみんな、全員が全員、僕たちは名前や居場所やどんなことをしているか分からないです。ただ1つ言えることは、俺たちのことが大好きなこと。そして俺たちはこの場所で歌を歌わせてもらって、演奏させてもらって、好きにやらせてもらっていること。そして共に一緒に同じ時間を、嫌なことを忘れながらも明日のために今は生きて、叫び続けてライブしていること。この事実に変わりはないことです」

 年齢も、肩書きも、性別も関係ない。意思が1つのところには、きっと強い力が生まれる。そう宣言し、真緒はファンとの絆を力強く結び直した。

 「21周年、すごく区切りの悪い年かもしれません。ただ俺たちにとっては、20周年を終えて第一歩となる21周年、みんなに新しい未来を作るための始まりです。ですので、これからの俺たちの未来に、お前たちついてこい。本当に今日ありがとうございました。愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!愛してる!」

 6度繰り返された、深すぎる愛情の言葉。「BLACK FUNERAL」と名付けられた一夜は、過去の弔いなどではない。終演後にファンを歓喜させた念願の新曲発表で、5人は種を蒔いたのだ。実に「Voyage」(2015年5月)以来11年4カ月ぶりとなる新曲「悪の花」。そのリリースが9月に控えている。再生をあきらめなかった1人1人とSadieの、明日のために生きる闘い。秋にはどんな形で、どんな色の花が咲くのか今から待ち遠しい。
【セットリスト】
2026年3月18日 Zepp Shinjuku
Sadie 結成21周年記念ワンマンライブ「BLACK FUNERAL」
1.慟哭
2.迷彩
3.心眼
4.Jealousy
5.Rosario- ロザリオ -
6.Payment of vomiter
7.斑 - まだら -
8.嘆きの幸福
9.Ice Romancer
10.HOWLING
11.DEAD END
12.クライモア
13.Grieving the dead soul
14.サイコカルチャー
15.陽炎
【アンコール】
16.赤蝶々
17.妄想被虐性癖
18.a holy terrors

この記事のフォト

「【Sadie特集】 独占ソロインタビュー&ライブレポート|ヴィジュアル系ロック最前線」特集記事

「美脚」特集記事

芸能の2026年3月22日のニュース