アジカン後藤が未来へとつなぐ思い「ここから素敵なミュージシャンを」 藤枝に滞在型音楽スタジオ設立

[ 2026年1月13日 05:00 ]

「Music inn Fujieda」への思いを語った後藤
Photo By スポニチ

 人気ロックバンド「ASIAN KUNG―FU GENERATION」でボーカル、ギターを担当する後藤正文が、スポニチの取材に応じ、藤枝市の滞在型音楽スタジオ「MUSIC inn Fujieda」についての思いを語った。24年5月に後藤はNPO法人「アップルビネガー音楽支援機構」を設立し、若手ミュージシャンを支援するため、築130年のお茶の蔵をスタジオに改装。13日にプレオープンを迎え、3月にいよいよオープンする。

 丁寧にスタジオを紹介する後藤の姿から熱意が十分過ぎるほど伝わった。音の反響に細部までこだわり、壁には細かく角度を付け、音質を確保するようにしている。

 「建物自体の響きは想像以上に良くて、安堵(あんど)しました」

 NPO法人を設立したのは24年5月。クラウドファンディングも活用して築130年のお茶の蔵を改装した。音のクオリティーを確保するには天井までの高さが必要と言い、蔵に着目したのは島田出身の後藤ならでは。音楽仲間も入れ代わり立ち代わり訪れて、ドラムの位置を微調整したり、みんなで理想の形を追求している。

 「大都市で音楽をやるのは非常にお金がかかる。スタジオの使用料にみんな苦しんでいて、僕はもう少し良い環境で作業させてあげたいというのが積年の願いだった」。若いミュージシャンを支援するため、自らの機材も惜しげもなく提供。また、エンジニアも育成し、そのエンジニアがまた10年後、新たな人材を育て、輩出する循環を思い描く。

 「今年、僕は50歳。土蔵が150周年の時には70。その頃にじいさんが、俺の話を聞けっていうのは、いいかげんにしろってなる。機材もそうですし、渡していかないとダメ。あと30年もしたら、どのみちこの世から僕らは退場する。そのときにここから素敵なミュージシャンが生まれたりしているのが理想」

 次代へ渡す。だから、壁や床には能登半島地震で倒壊したお寺や、熊本の水害で不要となった木材など再利用。また、しっくいにはほうじ茶を混ぜるなど藤枝のイメージも大事にする。「東京と同じようなものを造っても意味はない。どうやってこの場所じゃなきゃできないことをやるか、ずっと考えていた」。地元の人との関係も深まるにつれ「いろいろな生業がある中で、ユースカルチャーでもある音楽は、地域の中での役割が担える」と町の活性化まで視野は広がった。

 かつて、藤枝は東海道の宿場町だった。旅芸人は宿に泊めてもらう代わりに宿泊費として作品を置いていく場合もあったという。スタジオには宿泊施設も隣接している。

 「宿があるところに人が集まるっていう話を前に聞いたことがあるんですよ。宿場町が復活する機能もあるかもしれない」。

 いかにも日本的な建物はインパクトは抜群。海外のミュージシャンが訪れることも思い描く。オリジナリティーあふれるスタジオには時間的、また地域的“つながり”がどんどん広がっていく期待がある。

 「リバイバルとかあって繰り返し音楽って聴かれる。今もベートーベンだってモーツァルトだって聴かれるし、この先もずっと聴かれるんだろうと思う。長いスパンで人々に届くものが素敵。そういう場所になるといい」

 自らの思いが10年、20年と引き継がれ、藤枝で作られた音楽がずっと聴かれ続ける――。そんな未来を想像する後藤の表情は柔らかだった。

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